安倍晋三首相の連続在任日数が24日、2799日となり、大叔父の佐藤栄作元首相を抜き、憲政史上最長となった。「女性活躍」を前面に掲げた安倍政権だが、女性の政権支持率は男性と比べて低い傾向がある。ジェンダー政治が専門の辻由希・東海大教授は「経済成長の手段として女性を利用している」と語り、働く女性から見た、安倍首相のイメージ像を推察します。それは、いったいどんな「上司」なのか?
 つじ・ゆき 1977年生まれ。東海大学教授。専門はジェンダーと政治。著書に「家族主義福祉レジームの再編とジェンダー政治」。

 安倍首相は2012年の2次政権の発足当初から、「女性の活躍」を最重要課題に掲げるとともに成長戦略の大きな柱に位置づけてきました。

 内閣では「女性活躍担当相」を任命。15年には企業や自治体に行動計画の策定を義務づける「女性活躍推進法」を成立させ、男女別の育児休業取得率から女性の管理職割合まで、働く女性の実態を示すデータの「見える化」も促しています。

 最近は「女性が活躍できない会社に将来はない」という感覚が、日本社会で広く共有されるようになってきたと感じます。まだ社会を変える一歩に過ぎませんが、政権が旗振りした成果と認めても良いのではないでしょうか。

 安倍首相は自ら各経済団体の説得に乗り出すなど、一定の指導力を発揮しました。

ジェンダーや人権と切り離された「女性活躍」
 かつてジェンダーフリー攻撃に…(以下有料版で,残り:761文字)

朝日新聞 2020年8月24日 10時30分
https://www.asahi.com/articles/ASN8R4DQSN8QUPQJ00B.html?iref=pc_extlink