いわゆる「大阪都構想」をめぐり、大阪市議会で26日、2025年に特別区に移行した場合の「財政」の見通しについて、反対派の議員が追及しました。

大阪市を廃止し4つの区にわける、いわゆる「大阪都構想」をめぐり、大阪市議会の常任委員会では、2025年の制度移行後の、4つの区の「財政」の見通しについて協議されました。大阪府と大阪市は制度移行後の15年間で、4つの区の財政運営がそれぞれ成り立つかを検証するために、「財政シミュレーション」を作成していて、いずれの区でも収支不足にならないとする試算を出しています。しかし、今月11日に更新されたこの試算は、今年3月に出された2020年度当初予算にもとづいて算出されていて、新型コロナウイルスの影響による税収の減少は「想定が難しい」として反映されていません。また、15年間収支不足とならない根拠として、大阪メトロで想定される営業収益にもとづく配当金や税収などが含まれますが、大阪メトロは新型コロナウイルスの感染拡大により、利用客が減少。今年4月から6月までの営業収益は、前の年に比べて約42%減少と大幅に落ち込んでいます。自民・前田和彦市議は「大阪メトロの効果は、インバウンドの効果や新型コロナウイルス感染拡大前の、去年4月の中期経営計画がベースとなっている。大阪メトロがこの計画を抜本的に見直すといっている中、今後、税収や配当金が短期間で今まで以上に増えていくという試算を、住民に説明できない」と指摘しました。一方、松井市長は「100年に一度の特別な事象。大阪メトロの経営状態は厳しいが、これを乗り越えたら必ず成長する。試算として十分成り立つ」と答えました。また、前田市議は市内24区のそれぞれにあるプールなどの施設の管理運営費をめぐって、特別区が設置されたあとに施設が一定数廃止されることを見込んだ試算になっていると追及。「今後、経費削減が見込まれている17億円を生み出すには、維持管理費などをおさえるだけでは難しい。プールなどの施設を廃止することになれば、住民サービスの水準を維持するという制度案の取り決めに反し、住民にうそをつくことになる」と指摘しました。これに対し、松井市長は「知恵を出すことで、固定経費をいかにおとしていくか考えながら、財政効果を生み出していきたい。長期間の見通しでは十分に成り立つものだ」と反論しました。「大阪都構想」の住民投票をめぐっては、大阪府市の両議会で9月3日までに可決された場合、60日以内に実施されることが法律で定められていて、吉村知事と松井市長は11月1日の投開票を目指しています。



ABC 08/27 13:14
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