■ 異常な朝日新聞報道

 8月6日の広島での記者会見時の状況について、朝日新聞7日付朝刊は「官邸職員が腕つかみ本社記者の質問制止 官邸報道室に抗議」の見出しでトラブルがあったことを伝えている。

 内閣記者会は7月22日に官邸報道室に首相会見を開くように申し入れ、朝日は8月3日にもより多くの質問機会を確保するように内閣記者会を通じて官邸側に要望していたという。

 しかし、各社の「首相動静」などで分かるように、首相は分刻みで行動していることが多い。特に慰霊祭などの大きな行事の日はしかりである。

 そうした中で10分間、内閣記者会と地元記者会の幹事社2問ずつの4質問がセットされた。

 朝日記者は一連の流れを知っていながら、予定の問答が終わったところに「質問があります」と手を挙げ、首相は丁寧に答えた。

 その上にさらに質問し続けようとしたので、司会役の広島市職員が会見終了を宣言。飛行機は予定より7分遅れで広島空港を離陸し、東京へ向かった。

 この間の事情を朝日は「幹事社質問のやりとりの後、座ったまま挙手して『総理、まだ質問があります』と聞き、首相は答えた。記者は質問を続けたが、司会役の広島市職員が会見終了を宣言し、首相は退席した」と書いた。

 無理やり質問しようとした心の乱れを表出するかのように文章は乱れている。

 そもそも朝日はクレームをつける側ではなく、クレームされる側のはずであろう。その意味では、見出しは「盗人猛々しい」。

 しかも、職員が「短時間、記者の右腕をつかんだ」というが、故意ではあるまいし、官邸報道室長は「注意喚起を行ったが、腕をつかむことはしていない」と答えている。

 制止で触れた程度ではないのだろうか。というのも、毎日新聞は朝日同様に「腕つかみ制止」としているが、東京新聞は「朝日記者の腕つかむ?」のように「?」を付け、報道室長の反論も併記している。

 「腕つかみ・・・制止」といかにも暴力が振るわれたかのように思わせるが、読売新聞や産経新聞などが一言も触れていないことからも、ことの真相を見抜いて報道する価値なしと見たようだ。

 支那事変において政府は不拡大方針であったが、軍隊の功名心もあったが、メディアに煽られる形で、戦線が拡大していった。同時に販売部数が増加していった。

 戦争報道に注力したのは朝日新聞で拡張路線を大いに推進したことは山本武利氏の『朝日新聞の中国侵略』に詳しい。

 その朝日が戦後は一転して平和の使徒となり、販路拡大で隆盛を極めた。一時は大学入試にさえ朝日新聞の「天声人語」から出題されるようになるが、今そうした体質が問われている。

■ おわりに

 朝日の報道はマッチポンプと言えば分かりやすいかもしれない。慰安婦問題も南京虐殺問題も事実が歪曲され、歴史から消えかかっていた問題であったが朝日が再発掘してきた。

 こうした路線は創刊期に戦争報道に尽力し、支那事変から大東亜戦争当初まで最大の新聞社機を投入して部数を著しく伸ばした経験の踏襲であろうか。

 しかし、ネットの発達で、国民は速報性を重視するようになってきた。また、朝日新聞は数々の誤報で墓穴を掘り、部数が激減しているといわれる。

 今回の報道も購読者退勢の逆転を狙ったのかもしれないが、作家でジャーナリストの門田隆将氏は「朝日は、きっと批判するための材料だけが欲しかったのだろう。・・・反政府運動の機関紙と見紛う新聞。このネット時代にそんな新聞の部数が激減するのは当然だろう」(8月16日付「産経抄」)と記している。

 いま必要なのは、日本が元気を取り戻すことである。政治から元気を奪ったのは、モリカケに始まり今に至る朝日新聞先導のフェイク報道が大きな因をなしている。

 コロナで苦しんでいる今、外国が「日本の成功への関心、パートナーとしての期待」(三井美奈氏)を高めている実態を正面に見据えて、肩を落としている国民に知らせ鼓舞すべきではないだろうか。

 世界に特派員を派遣して網の目を張っているマスコミは、世界の現実と日本を比較考察しながら、日本を奮い立たせる最良の武器であるからである。

全文はソース元で
https://news.yahoo.co.jp/articles/7aeea262c44e53c9c75c10482174a614723de480?page=4