次の駐中国大使に垂(たるみ)秀夫前官房長(59)を起用する外務省の人事について、中国政府が同意したことが分かった。中国に幅広い人脈を持ち情報収集能力の高さで知られる垂氏の大使就任には、中国側が警戒するのではとの見方もあった。垂氏は閣議決定を経て着任する。

 中国外交筋が明らかにした。「チャイナスクール」と呼ばれる中国語研修組出身の垂氏は、中国・モンゴル課長や駐中国公使などを歴任し、台湾での勤務経験もある。

 大使人事について、受け入れ国は同意しない権利を持つが、中国政府は人事を拒むのが異例であることや対日関係への影響も踏まえて同意を決めたという。

 日中関係は2017年以降、回復基調にあったが、今年春に予定されていた習近平(シーチンピン)国家主席の国賓訪日が新型コロナウイルスの影響で延期された。その後、中国政府が香港への統制を強めたことなどから、日本では習氏訪日への反対論が強まっている。中国側でも計画自体を見直す動きがあり、垂氏は両国関係に影が差すなかで対中外交の前線を担うことになる。(北京=冨名腰隆)

朝日新聞 2020/8/30 16:04
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