コロナとの闘いはどう終息するのか、なぜこうも難しいのか

SARS、エボラ出血熱、ジカ熱などに対処してきた世界的な専門医に聞いた


──コロナウイルスの危機はどのように終息すると考えますか?

この危機から抜け出すには、すべての人が感染症にかかるかワクチンの接種を受けることによって免疫を獲得するしか方法はありません。
すぐにどうにかしなければならないとしたら、とりあえず目処の立ったワクチンを使って一過性の免疫を獲得することでしょう。

それが4カ月から6カ月ほど持続すれば、パンデミックの連鎖を断つことができます。
次は、別のもっと良いワクチンを使って同じようにします。これで乗り切れます。最初のワクチンで大成功を収められるわけではありません。

──ワクチンが重要視され過ぎていると思われますか?

多数の犠牲者が出る感染症が発生したときには、従うべき優先順位のリストがあります。第一に重症化しやすい人を守ること。
第二に新たな感染を防ぐこと。第三に患者を治療すること。そして第四がワクチンを作ることです。
ワクチンの製造は最も時間がかかり、最も高い危険が伴うからです。

しかし、新たな感染を防げていないことは見てのとおりです。コロナウイルスの治療に十分な資金も投入されていません。
ワクチンを開発するには、ヒトの免疫系が過去に出合ったことのないウイルスにどのように反応するかを理解する必要があります。
私はむしろ実験室で、抗ウイルス薬を大量に試します。

──今回のようなパンデミックがまた起こることを防ぐにはどうしたらよいでしょうか?

感染症の流行は、より大規模に、より急速に、より頻繁に起こるようになっています。
(アフリカで)エボラ出血熱が発生するたび、人びとが首都に殺到します。そこからはヨーロッパやインド、中国への直行便が飛んでいます。
病気はあっという間に世界中に広がるということです。政治の問題は棚上げして、協力してウイルスと闘う必要があるのです。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/090100506/?P=2