「何が当たり前なのか見極めて判断、大胆に実行する」…菅氏記者会見の要旨

 【安倍政権継承】第2次安倍内閣の発足以来、官房長官として首相の下で日本経済の再生、外交安全保障の再構築などの重要課題に取り組んできた。今年に入ってからは新型コロナウイルス感染症の拡大という、かつてない事態に直面する中、感染拡大と医療崩壊を防ぎ、同時に社会経済活動を再開するという課題に真っ正面から取り組んできた。政治の空白は許されない。一刻の猶予もない。安倍首相が全身全霊を傾けて進めてきた取り組みをしっかり継承し、さらに前に進めるために、私の持てる力をすべて尽くす覚悟だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止と社会経済活動の両立を図り、雇用を守り、経済の回復につなげていかなければならない。目の前にある危機を乗り越えることに全力を挙げつつ、少子高齢化問題、戦後外交の総決算、憲法改正にも引き続き挑戦していきたい。

 【政治姿勢】世の中には数多くの「当たり前でないこと」が残っている。ダムの水量調整では行政の縦割りを打ち破った。一昨年、携帯電話料金は4割程度引き下げる余地があると表明した。事業者間で競争が働く仕組みをさらに検討していきたい。現場の声に耳を傾け、何が当たり前なのかを見極めて判断し、大胆に実行する。

 国の基本は自助、共助、公助だ。まず自分でやってみて、地域や自治体が助け合う。その上で政府が責任を持って対応する。このような国のあり方を目指すには、国民から信頼をされる政府でなければならない。

 【経済・金融政策】アベノミクスを責任を持って引き継ぎ、前に進めたい。雇用を守り、企業を存続させるため、必要であれば金融政策をさらに進めたい。地方の銀行は数が多すぎる。

 【外交・拉致問題】日米同盟を基軸としながら、近隣諸国との関係を作っていく。今の日本の立ち位置は変えるべきでない。ロシアとの平和条約問題は、次の世代に先送りせず、終止符を打つ決意で首相は取り組んできた。この方針は変わらない。拉致問題はありとあらゆるものを駆使して解決するべきだ。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とも条件を付けずに会い、活路を切り開きたい。

 【沖縄基地負担】沖縄基地負担軽減の担当相として、米海兵隊の基地である北部訓練場の一部返還などを実現させた。名護市辺野古に米軍普天間飛行場を移設することで、普天間飛行場の危険除去を実現できる。

 【地方創生】秋田の農家で育った私の中には、地方を大切にしたい気持ちが脈々と流れている。総務相に就任し、「ふるさと納税」を成立させた。外国人観光客の誘致、農産品の輸出促進の取り組みも、地方経済を元気にしたいという思いからだ。都会と地方の両方とも良くするという思いで国の政治を前に進めたい。

 【派閥政治】私自身は派閥に所属していない。派閥にはいい所も悪い所もあるが、私は派閥連合に推されて今ここにいるわけではない。自らの判断で出馬を決意し、派閥に所属していない人たちのエネルギーが押し上げてくれている。

2020/09/02 21:13 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200902-OYT1T50208/