自民党の岸田文雄政調会長は3日、総裁選に向けた政策集「岸田ビジョン」を発表した。タイトルは「分断から協調へ」で、中間所得層に配慮した経済政策やデジタル技術を活用した地方活性化策など、アベノミクスで広がった格差の是正を前面に打ち出した。

 岸田氏は東京都内での記者会見で、アベノミクスの成果は評価しつつ「5年、10年も同じことをやって通用するほど世の中は甘くない」と指摘。中間所得層の厚みを増すため、最低賃金の引き上げや教育費・住宅費の負担軽減策を行うと政策集に明記した。

 「地方の復権」を掲げ次世代通信規格「5G」の全国展開で地方の利便性を向上する「デジタル田園都市構想」の推進をうたった。

 安倍政権の継承を打ち出した菅義偉官房長官との差別化も意識。森友・加計問題などで「政権の私物化」と批判された安倍晋三首相の政治姿勢との違いを示すため、政策ビラに急きょ「公正でやさしい」とのサブタイトルも盛り込んだ。

 安倍首相が意欲を示していた改憲については「国民の理解を深めつつ、国民とともに目指す」とあいまいな表現にとどめた。 (川田篤志)

2020年9月4日 05時55分
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