性犯罪の被害者、匿名で起訴状に記載を検討 森法相
2020年9月4日 11時44分
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 森雅子法相は4日の閣議後会見で、性犯罪の被害者の氏名を被告に知られないようにするため、起訴状で匿名にできるようにするなど法改正に向けて検討を始めたことを明らかにした。

 刑事訴訟法は、起訴状で「日時、場所、方法」によって起訴内容の特定を求めている。被害者の氏名については定めがないものの、通常は記載しており、事実上、起訴内容の特定に必要な要素とされている。

 起訴状の謄本は被告本人に送達されるため、面識のない犯人に襲われた性犯罪などでは、被害者が氏名を知られることを不安に感じ、捜査への協力を得られないなどの被害が潜在化する事態も懸念されている。

 これまで検察は、被害者の氏名に換えて親の氏名と続き柄を記載するなどし、起訴内容の特定と被害者保護の両立を図ってきた。これに対し、起訴内容が特定できていないとして裁判所が氏名の記載を求めることも少なくないという。

 起訴状における被害者の氏名の取り扱いは、関係機関の間でこれまでも議論になってきた。逮捕や判決などの際にも被告に伝わる可能性があり、法務省はあわせて検討を進める方針だ。