2020年09月04日 11時27分00秒

2020年9月2日、「ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論」の著者であり、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの人類学教授であるデヴィッド・グレーバー氏がベニスの病院で亡くなったと、妻のNika Dubrovsky氏が報告しました。59歳でした。


David Graeber, anthropologist and author of Bullshit Jobs, dies aged 59 | Books | The Guardian
https://www.theguardian.com/books/2020/sep/03/david-graeber-anthropologist-and-author-of-bullshit-jobs-dies-aged-59


グレーバー氏は1961年、スペイン内戦の際に外国人部隊の国際旅団メンバーとして戦った父と国際婦人服裁縫労働者同盟のメンバーだった母との間に、ニューヨークで生まれました。10代のころからマヤ象形文字の翻訳で注目を集めたグレーバー氏は、ニューヨーク州立大学パーチェス校とシカゴ大学で人類学を学んで博士号を取得した後、マダガスカルで2年間にわたり人類学のフィールドワークを行いました。

1998年からはイェール大学の人類学助教授として価値および社会理論の研究を行い、やがて准教授に昇進しましたが、イェール大学人類学部は2005年にグレーバー氏の契約を更新しないことを決定。グレーバー氏はアナキズムの活動家としても知られており、
「予定されていた在任期間を前にした契約停止は政治的な動機によるものでは」と考えたグレーバー氏は、大規模な抗議行動を実施。4500人以上の同僚や学生がグレーバー氏を支持する請願書に署名し、イェール大学は1年間の有給休暇をグレーバー氏に提示することとなりました。

また、グレーバー氏はアメリカ経済界、政界に対する大規模な抗議行動である「ウォール街を占拠せよ」の理論的指導者としても有名です。アメリカにおいて上位1%の富裕層が所有する資産が増加し続けている状況を表すスローガンの「We are the 99%(私たちは99%だ)」は、グレーバー氏が活動の参加者を「99%」と呼ぶことを提案し、それに他の人々が「私たちは」をくっつけて誕生したとのこと。

グレーバー氏が2011年に発表した「負債論 貨幣と暴力の5000年」は、全ての貨幣に基づく社会的関係の背後にある暴力について調査して資本主義に警鐘を鳴らし、トマ・ピケティをはじめとする多くの人々から注目を集めました。

また、2013年に「デモクラシー・プロジェクト: オキュパイ運動・直接民主主義・集合的想像力」、2015年には「官僚制のユートピア テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則」など、注目される著書を立て続けに著しました。

中でも2018年に発表された「ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論」は、「ホワイトカラーの仕事のほとんどは無意味であり、技術の進歩によって人々の仕事は増え続ける」と指摘したことで、日本でも大きな話題を呼びました。

     ===== 後略 =====
全文は下記URLで

https://gigazine.net/news/20200904-david-graeber-passed-away/