新型コロナウイルスの影響で減収した個人事業主らが対象の「持続化給付金」を不正に受け取ったとして、沖縄県警の聴取を受けている税理士の男ら2人が、合計で1800件の虚偽申請に関与した疑いがあることが関係者への取材で分かった。2人は手数料や着手金名目で給付額の3割程度を申請名義人から徴収し、5億円規模の額を不正に得ていたとみられる。

 関係者によると那覇市に事務所を構える税理士の男とその知人は、事業実績のない人々に対して虚偽の確定申告などの書類を用意させ、給付手続きを進めていた。ある企業の従業員一人一人をそれぞれ独立した事業主と見立てて書面を作成し、多額の現金を不正に得ていた疑いもある。

 県警は今月3日、税理士の男の事務所など複数の関係先を家宅捜索し証拠書類を押収。男2人から事情聴取をしている。詐欺容疑での立件を視野に関与した人物と指示系統、不正に得た現金の流れなどを捜査している。

 県警にはこれまで持続化給付金の不正受給に関する相談や情報提供が寄せられており、関連についても並行して調べている。

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 持続化給付金 新型コロナウイルスの影響で収入が半減した中小企業に最大200万円、フリーランスを含む個人事業主に最大100万円の現金を給付する制度。雇用契約ではなく、業務委託契約等を主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者は対象になる場合があり、学生のアルバイトや主婦のパート、ネットへの出品による売上を雑収入として確定申告する人は受給対象者と見なしていない。

沖縄タイムス 2020年9月10日 06:15
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/629911