千葉県成田市の成田山新勝寺は、新型コロナウイルスの感染防止のため、2021年の初詣の分散参拝を呼び掛けることを決めた。新勝寺は「正月三が日は大変な混雑が予想される。混雑する日や時間を避けたお参りをお願いします」と説明している。初詣の分散参拝の呼び掛けは初めてで、境内への入場制限も検討し、できるだけ早く具体的な方策を決める。【中村宰和】

 新勝寺には20年の正月三が日に318万人の初詣客が訪れ、境内や寺に続く約800メートルの表参道は長い行列ができた。感染が拡大する中、新勝寺や市、市観光協会、成田商工会議所、成田署などで7月から、国際医療福祉大学成田病院の感染症の専門医を交えて会議を開き、感染防止対策を検討している。市は対策費として9月補正予算案に1000万円を計上し、参道に検温の機器や消毒液を設け、人員を配置する費用に充てる。小泉一成市長は「初詣は成田の商売にとっても生命線で、密になる心配はあるが、感染防止対策をして、ぜひ初詣にお越し願いたいという強い気持ちでいる」と話している。

 新勝寺は感染防止対策と合わせ、万全の迎春準備を進めている。11日には、初詣客に授ける護摩札づくりが始まった。僧侶がモミの木の札に、本尊の不動明王を表す梵字(ぼんじ)を書き込んだ。家内安全や商売繁盛、交通安全と書かれた紙を巻き、紅白の水引を掛けて仕上げた。護摩札は初詣客に授けられる。僧侶の寺口照慧さん(46)は「世の中が大変な状況にある。一日も早い収束と平穏な日常生活に戻ることを願い、一字一字書いている」と話した。護摩札を年末までに約60万体用意する。

毎日新聞 2020年9月12日 08時50分(最終更新 9月12日 08時54分)
https://mainichi.jp/articles/20200912/k00/00m/040/021000c