産業技術総合研究所(産総研)は2020年9月17日までに、滋賀県大津市内で実証中の自動運転バスが路肩の柵に接触した事案について、調査結果と対策を公表した。

接触は手動運転中に発生したもので、産総研は今後、操舵量の大きい箇所などを注意箇所としてあらかじめ手動運転を行う区間に指定するなど防止策を講じている。

改めて、実証の概要から接触事案発生に至った経緯、今後の対策についてまとめてみた。

実証は、経済産業省および国土交通省の事業「高度な自動走行・MaaS等の社会実装に向けた研究開発・実証事業:専用空間における自動走行などを活用した端末交通システムの社会実装に向けた実証」の一環で、産総研が幹事機関、大津市と京阪バスが運行事業者を務め、大津市内を自動運転バスで有料運行するもの。実証期間は2020年7月12日から9月27日となっている。

使用するバスは先進モビリティが改造した定員27人の中型バスで、GNSS・QZSSアンテナ、通信アンテナ、前方・側方・後方LiDAR、障害物検知カメラ、信号認識カメラ、ミリ波レーダー、磁気センサー、ジャイロセンター、ステレオカメラ(未使用)を搭載し、車線維持や速度の維持制御などを高度に行うことができる。
接触事案は8月30日、乗客4人を乗せて大津市島の関付近を運行中に発生した。やや特殊な形をした丁字路をUターンするため右旋回する際、車体左前のセンサーカバーが歩道柵の支柱部分に接触した。けが人はいなかった。

転回中は極低速(時速4キロ以下)の自動運転で行っていたが、転回の完了前に歩道柵との間隔が狭いとドライバーが判断し、手動運転に切り替えた。ドライバーは自らの操作により接触を回避できると判断して微速前進したが、結果として車体から張り出して装備されているセンサーカバーが接触することとなった。

ドライブレコーダーの映像と制御記録を確認したところ、ドライバーは接触の約8秒前から操舵とブレーキの手動介入を行い、手動運転への移行は問題なく行われていた。GPSは設計範囲内の精度であり、自動運転システムにも異常は認められなかった。

最終的には、ドライバーの車幅感覚の判断ミスが原因としている。また、現場は車両の旋回性能を概ね最大に発揮しないと曲がり切れず、かつ曲がる途中と曲がり終わりの2カ所で構造物に接近する箇所があるため、手動運転であっても慎重な対応が必要な箇所であり、こうしたポイントを自動走行ルートとして設定していたことも原因に挙げている。

自動運転による走行軌道は、構造物への余裕を考慮した上で設定しているが、位置情報や制御の誤差の状態によっては自動運転制御上の操舵量の限界値でも余裕が不足するような軌道がまれに発生しており、当該箇所において同様に歩道柵接近のため手動介入したケースは、介入記録からは約400回に4回の頻度だったという。

長いので続きはソースで
自動運転ラボ 2020年9月18日 07:30
https://jidounten-lab.com/u_autonomous-bus-youin-ssk