総務省が21日の敬老の日を前にまとめた15日時点の人口推計によると、65歳以上の高齢者人口は前年比30万人増の3617万人だった。総人口に占める割合は0.3ポイント上昇して28.7%となり、ともに過去最多を更新した。

男女別では男性が1573万人で全世代の25.7%、女性が2044万人で31.6%だった。

「団塊の世代」と呼ばれる1947〜49年生まれを含む70歳以上の人口は78万人増の2791万人だった。後期高齢者医療制度の対象となる75歳以上人口は24万人増の1871万人に上った。

日本の総人口は前年に比べて29万人減の1億2586万人となる一方、高齢者人口は増え続けている。

一方で2019年の65歳以上の就業者数は18年より30万人増えて892万人だった。16年連続の増加だ。15歳以上の就業者総数に占める割合も0.4ポイント増の13.3%と過去最高だった。

総務省によると、65歳以上の人口の割合は日本が世界201の国・地域の中で最も高い。2位のイタリア(23.3%)、3位のポルトガル(22.8%)を大幅に上回る。

国立社会保障・人口問題研究所の推計で、高齢者の割合は今後も上昇が続く。第2次ベビーブーム世代(1971〜74年生まれ)が65歳以上になる2040年には35.3%になる見込みだ。

安倍晋三前首相は「全世代型社会保障改革」を掲げた。一定以上の所得がある75歳以上の医療費窓口負担を2割に引き上げる改革は年収基準などの議論に踏み込めず、先送りした。

菅義偉首相も「若い人たちが将来も安心できる全世代型社会保障制度を構築する」と重ねて述べており、安倍前政権の路線を継承する。再登板した田村憲久厚生労働相を中心に少子化対策に加え、高齢者の負担増を伴う改革にどこまで取り組めるかが問われる。

2020/9/20 17:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64097040Q0A920C2PE8000/