インドネシアの医療機関で新型コロナウイルスの感染症に罹患(りかん)する医療関係者が急増している。

政府の新型コロナウイルス緊急対策本部(タスクフォース)によると、病院が国内最大のクラスター(感染者集団)であり、
それに伴って看護師など医療関係者の陽性者数は増えている。

タスクフォース関係者は、国民のコロナに対する意識が弱く、現状のままでは早晩に医療システムが崩壊すると警鐘を鳴らした。

タスクフォースのウィク・アディサスミト報道官は22日、病院がクラスターの一つと化していると指摘した。
今月12日時点の統計で、病院、地域社会、オフィスがクラスターの発生源となっており、特に病院だけで2万4,400件の感染例が確認された。

地域社会(感染例1万5,133件)、オフィス(同3,194件)を上回っていると明らかにした。

インドネシア全国看護師協会(PPNI)のハリフ・ファドヒラ会長は22日、
ジャカルタ特別州、東ジャワ州、南スラウェシ州、バリ州の4州だけで看護師3,000人近くが新型コロナ陽性だと確認されたと明らかにした。
うち少なくとも85人が死亡した。

ジャカルタ・グローブによると、ジャカルタだけで1,629人の看護師がPCR検査で陽性反応を示し最多。
東ジャワで844人、南スラウェシで350人、バリで156人だった。

ハリフ会長は「全土の統計を取れば、その数字はさらに数千以上大きくなる」と話した。
その上で、政府がコロナ陽性者の割合が全国の3割を占めるジャカルタ首都圏で、
医療機関関係者への無料定期検査を実施することを歓迎した上で、早急に他州へも拡大するよう求めた。

インドネシア医師会によると、これまでに全国で医師117人が新型コロナウイルスの感染症で死亡している。

ジャカルタ・ポストによると、タスクフォースで医療ボランティアの調整役を務めるジョセップ・ウィリアムズ氏は、
国民の間で衛生規律に対する認識が依然として低いと強調。「(衛生規律の)意識を高めなければ、医療システムは機能しなくなる」と述べ、
医療崩壊の可能性が高まっていると危機感を示した。国内の医療機関は新型コロナウイルス感染症対策で既に逼迫(ひっぱく)しており、
もし崩壊すれば、新型コロナの克服は困難になると付け加えた。

その上で「衛生規律を順守し、密を避けて社会的距離を取り、マスクの着用と頻繁な手洗いをすることでコロナ感染症を予防して、
感染者数の増加を防ぐことが医療システムを安定化させるために必要だ」と訴えた。

タスクフォースのウィク報道官も「オフィスや工場でもクラスターが発生しているのは、
衛生規律の順守に対する意識が依然として希薄であることを示している」と述べ、順守に向けた取り組みを強化する必要があると述べた。

保健省が実施した調査によると、国民の間では新型コロナの存在を信じなかったり、
感染防止のために設けられた衛生規範の順守への反発が依然として多いという。
https://www.nna.jp/news/show/2097585