2020/9/27 13:00

星空を見上げるように立つ「小杉の大杉」。2つに枝分かれしていることから夫婦杉、縁結びの木、子宝の木といわれ、パワースポットとしても人気がある=山形県鮭川村(宮崎瑞穂撮影)
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 あたりに街灯はなく、夜空を照らすのは満天の星。宙を見上げるように、1本の杉の大木がたたずむ。

 山形県北部の鮭川(さけがわ)村。古くから神木として親しまれてきたが、スタジオジブリ作品「となりのトトロ」に登場するトトロのようだと、県内外から多くの観光客が訪れる。同村の小杉集落にあることから「小杉の大杉」と呼ばれ、樹齢は千年といわれる。地元・新庄藩の古文書には、木の下で殿様が吹雪をしのいだとの言い伝えも残っている。

 約30年前、JRのポスターに登場したことで、全国から「トトロの木」を見ようと観光客が押し寄せた。木を守るため根元を柵で囲い、木製の歩道が敷かれた。

 当時は枯れかけていた樹勢も戻り、現在は3つ目の“耳”が生えてきた。見る角度によってずんぐりした体つきのトトロが現れる。

 子供の頃は木に登って遊んでいたという同村むらづくり推進課の黒坂洋平さん(32)は「トトロに姿を似せるため3本目の枝を切ればという声もあるが、ご神木なので手を入れることはできません。昔と比べるとトトロはふっくらしてきました」と説明する。

 村の歴史を見てきた杉の木は今でも形を変えて成長している。トトロでなくなっても、美しい星空は残していきたい。(写真報道局 宮崎瑞穂)
                 
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