【ニューヨーク=大島有美子】米ユナイテッド航空は28日、年内に予定していたパイロット2850人の削減回避で労働組合と合意した。2021年6月まではパイロットを強制的な無給休職や解雇としない。乗務時間を減らすほか、50歳以上のパイロットには早期退職を促すことで全体的な人件費を圧縮する。

ユナイテッドとパイロットの組合が明らかにした。新型コロナウイルスの影響で航空需要が低迷するなか、ユナイテッドは今年2850人、21年に追加で約1000人のパイロットを削減する計画だった。削減回避に向け労使の条件交渉が続けられ、10月1日以降としていた実施予定間際で合意に至った。

パイロットは給料が高く人件費には重荷だが、訓練にも時間と費用がかかるため航空各社は削減に慎重姿勢だ。需要が戻ってきた際に「パイロットが足りなくて飛行機を飛ばせないという事態は避けたい」(関係者)のが経営側の事情だ。

米政府による航空会社への雇用支援は9月末に期限が切れる。パイロットの削減は回避したが、客室乗務員や空港職員など約1万3000人は削減となる方向だ。航空各社や組合は米政府に対して人員削減回避のため、雇用支援の延長を求めている。

日本経済新聞 2020/9/29 4:27 (2020/9/29 4:37更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64354970Z20C20A9000000/?n_cid=SNSTW001