文部科学省は16日、今年4〜8月の全国の大学などの中退率は0・38%で昨年同時期の0・48%を下回ったと発表した。文科省は「現段階では新型コロナウイルス感染症の影響は数字上は見られないが、引き続き注視したい」としている。

 文科省によると、全国の国公私立の大学、短大、高等専門学校計1059校を対象に調査し、14日までに1053校(99・4%)から回答を得た。296万9337人の学生(院生を含む)のうち、今年4〜8月に中退したのは1万1411人だった。

 中退の理由は、「経済的困窮」が23・1%で昨年の22・1%と同水準だった。キャンパスの立ち入り制限やオンライン授業の拡大によって懸念されていた「学生生活不適応・修学意欲低下」は15・6%で、昨年の15・9%から大きな変化はなかった。

 家計が厳しい学生への支援策では、99・1%が前期の授業料の納付猶予を実施し、後期も97・5%が実施すると答えた。

 今年度は大学の学費負担を軽減する新たな修学支援制度が始まり、「コロナ禍」で困窮した学生約42万人に10万〜20万円の緊急給付金も支給された。萩生田光一文科相は「状況の変化次第でさらなるメニューが必要なら考えたい。経済的理由だけでなく、心の面で悩んでいる学生の支援策も必要だ」と話した。【大久保昂】

毎日新聞 2020年10月16日 17時20分(最終更新 10月16日 17時20分)
https://mainichi.jp/articles/20201016/k00/00m/040/182000c