大阪府と大阪市の「二重行政」だとして、2年半前にある病院が閉院した。大阪市住之江区にあった、市立住吉市民病院。その後、地域医療はどうなったのか――。(山中由睦)
 「またここに病院が出来るんですか……」

 金太章(きんたしょう)医師(66)は昨年、診察の後に患者から半信半疑の顔で尋ねられた。「この地域がどうなっていくのか。不安と期待の両面を抱えているんだな」と感じたという。

 ここは閉院した住吉市民病院の跡地の一角に立つ住之江診療所。大阪市が閉院による影響を抑える目的で暫定的に整備した。市民病院と同様に小児科と産婦人科があり、外来患者数は市民病院から見れば6分の1ほどだが、毎日20人ほどが通う。

 すぐ隣には、解体中の老朽化した市民病院の建物。大阪市はここに、2025年に府立大と市立大が統合して出来る「大阪公立大」が運営する公立病院をつくる計画を進めている。

 そのときには住之江診療所は閉所される。診療所の所長でもある金医師は言う。「なぜ市民病院が閉院して、公立大の大学病院ができるのか。これまでの経緯を考えると、みんなすっきりしないでしょう」

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■吉村・大阪市長「役割分担でき…(以下有料版で、残り1303文字)

朝日新聞 2020/10/16 16:00
https://www.asahi.com/sp/articles/ASNBJ346FN9ZPPTB00K.html?iref=sptop_7_06