毎日新聞2020年10月17日 08時30分(最終更新 10月17日 08時30分)


 秋田県内で性感染症の梅毒の感染例が急増している。全国的に感染が拡大傾向にある中、県保健・疾病対策課のまとめによると、10月11日現在で県に報告があった感染者数は64人。現在の形で統計を取り始めた2006年以降、最多だった19年の年間感染者数28人の既に2倍以上となっており、専門医らは注意を呼びかけている。【高野裕士】

 国立感染症研究所によると、全国の梅毒感染者は11年から増加傾向となり、19年は年間6577人(暫定値)の報告があった。現在の形で統計を取り始めた1999年以降で最少だった03年の509人の約13倍まで拡大した。

 特に秋田の感染状況は深刻だ。06、07年は1人だったが、20年は年間80人以上となるペースで報告されている。国立感染症研究所によると、20年第2四半期(4〜6月)の人口100万人当たりの県内感染者数は16・6人で、岡山、愛媛両県と並び全国で4番目に多い。東日本に限ると東京都(28・8人)に次ぐ数字で、東北では突出している。また19年同期の感染者数と比べると約4・3倍に急増しており、3倍以上になっているのは全国で秋田だけだ。

 県のまとめでは、県内では10月11日現在、性別、年齢別では40代男性と50代男性がそれぞれ13人と最も感染者が多く、全体の4割を占める。医療関係者からは、県内では性風俗産業の従事者・利用者の周辺で感染が広がっている傾向が指摘される一方、今後は夫婦間や恋人間などでの感染の広がりを懸念する声も出ている。

 研究所によると、全国で最も感染者が多いのは20代女性で、より感染リスクが高いとされる性風俗産業の従事・利用歴がない人にも広がっている。担当者は「性風俗関連が感染の発端であっても、その後にさらに拡大している可能性がある」とみる。

梅毒
 「梅毒トレポネーマ」という細菌を原因とし、主に性行為による粘膜接触などを介し感染する。感染後3週間前後の潜伏期間を経て性器などに痛みを伴わないしこりができ、3カ月〜3年ほどで血液を介して細菌が運ばれ、手のひらや足の裏など全身に発疹ができる。悪化すると大動脈瘤(りゅう)や脊髄(せきずい)に異常が生じる可能性もあり、命に関わるケースもある。
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