では、夫々の法で規定されちょる個別の事情を抜きに、
一般の通念としては、学術会議法に規定されちょるような
「○○の推薦に基つき任命」という文言はどう扱われるかということを
示したのが、例えば下のやり取りになるワケやね。

1951年5月31日、参議院運営委員会第51号で、
科学技術行政協議会(学術会議と政府の間を取り持つ機関で
GHQの影響がデカかったとされている)
を巡る質疑応答で、当時の岡崎勝男官房長官の発言に
下のようなくだりがある。

> 『何々の推薦に基き任命をしなければならないという、こういう場合もあり、
> 又何々の推薦を尊重しなければならない、こういう場合もあるのであります。
> その解釈につきましては何々の推薦に基きという場合は、何々の推薦を
> 尊重しなければならないというよりは、もつと強いという解釈をとつておりまして、
> 基きという場合にはかなりそれが強く政府に対して義務と言つてはおかしいのですが、
> 政府を拘束しておる。』それから尊重しなければならないというのは
> それよりは従来の法律の解釈はやや軽い。
> そこで例えば八名のかたを仮に推薦して来たというような場合に、
> これは一例なんでありますが、そのうちの一人や二人をかれこれ言う場合でも、
> 過半数を少くとも推薦通りに入れた場合は尊重したものと当然これは
> 認められるのが一般の通念である

つまり、夫々の法で規定されちょる個別の事情を抜きに、一般の通念としても、
「○○の推薦に基づき」というのは「○○の推薦を尊重しなければならない」と違って
政府を拘束するなどと言っちょるんだね。単に推薦人数の中からの人数
を一定数入れればエエやろ、という類の話ではないと、こういう話になるワケやな。