米大統領選が2週間余りに迫る中、支持率で大きくリードする民主党のバイデン陣営が楽勝感の引き締めに躍起になっている。選挙前に同じように優勢でありながら土壇場で大逆転された前回のヒラリー・クリントン氏の悪夢再来のデジャブに脅えているためだ。

クリントン敗北前の状況に酷似
 バイデン陣営がデジャブに脅えているのは終盤の選挙情勢が2016年の4年前の状況に酷似してきたことがある。当時は11月8日の投票まで3週間の段階で、クリントン氏が全米平均でトランプ氏を7〜8ポイントリード。勝敗の行方を左右する激戦州の中西部ミシガンでは12ポイント、東部ペンシルベニアと中西部ウィスコンシでは7ポイント、それぞれトランプ氏を凌駕していた。

 しかしその後、選挙までの最終局面で有権者の一部が心変わりし、またこの段階で態度を未決定だった人たちがトランプ支持に傾斜、結果としてクリントン氏のリードは雲散霧消。トランプ氏はこれら3州に加え、南部のアリゾナ、ノースカロライナ、フロリダの6激戦州すべてで勝利した。

 注目に値するのはミシガン、ペンシルべニア、ウィスコンシの3州におけるトランプ、クリントン両氏の得票差がたった7万7744票(有効票数約1億3667万票)だった点だろう。ミシガンではわずか1万704票(0.3%)の僅差。ペンシルベニアでは4万4292票差(0.7%)、ウィスコンシでも2万2748票差(0.7%)で、トランプ氏がギリギリでクリントン氏をとらえたことが分かる。

 同時期の現在の選挙情勢はどうか。世論調査のまとめに定評のある「リアル・クリア・ポリティクス」(10月18日)によると、全米平均の支持率でバイデン氏が9ポイント前後リードし、ミシガン州で7.2ポイント、ペンシルベニア州で6.5ポイント、ウィスコンシ州で6.3ポイント上回っている。アリゾナ、ノースカロライナ、フロリダ各州でもバイデン氏が2〜3ポイント優勢だ。

 米紙ワシントン・ポストの調査では、バイデン氏が全米平均で11ポイント、ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシ各州で7〜8ポイントリードしている。いずれの調査でもトランプ氏の劣勢は歴然だ。しかし、ここ数日間で両氏の差がペンシルベニアで4.4ポイント、フロリダで1.2ポイントまで縮小しており、バイデン陣営の悪夢再来のデジャブへの懸念は高まっている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4b9f228a4c9b07cada23e9e3bd1b256f3ad86e64
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