https://news.yahoo.co.jp/articles/080ae2edc09af742ee9f19f01b1ecafea2650c64

太陽系で最も遠くに位置する海王星の赤道付近の上空に、猛毒の青酸ガスとして知られる
「シアン化水素」が帯状に分布していることを東京大などの研究チームが発見し、
米科学誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」に発表した。

電波を観測する南米チリのアルマ望遠鏡を用いて、太陽から約45億キロ離れた天体の大気の
ごく微量の成分を捉えた成果で、チームはこの手法が惑星の大気環境の解明につながるとしている。

約164年かけて太陽の周りを1周している海王星は地球から遠く、探査機による観測の機会が少ない。
直径は地球と比べて約4倍、質量は約17倍。これまで大気中にシアン化水素の存在は確認されていたが、
どう分布しているか分かっていなかった。

惑星の大気を直接、採取できなくても、そこから発せられる特有の電波を望遠鏡で観測すれば、
構成する成分を特定することができる。チームは2016年にアルマ望遠鏡の観測で得られたデータを
解析した結果、海王星上空にシアン化水素が分布していることを確認した。

さらに詳しく調べた結果、赤道付近でその濃度が最も高かったが、それでも約1・7ppb(ppbは10億分の1)
とごく微量だった。最も濃度が低いのは南緯60度付近で約1・2ppbだったという。

チームは濃度の違いからシアン化水素ができる仕組みを予測し、海王星上空の大気の流れも分析した。

チームの飯野孝浩・東京大特任准教授(電波天文学・大気化学)は「冥王星を含め惑星の大気環境は
分かっていないことが多く、現在の常識では考えられないことが起きている可能性がある。
今後も自由な発想で解明していくことが重要だ」と話している。


1989年に探査機ボイジャー2号が撮影した海王星(左)と、
今回の研究で得られたシアン化水素の分布を示したイメージ画像=東京大提供
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