終始穏やかな雰囲気の中で行われた最終討論会。バイデン氏は人格の重要性を強調
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 第2回目討論会もバイデン氏が勝った、トランプ氏挽回できずとの見方が多いが、果たして、反トランプ派はこれでバイデン氏大統領選勝利確定モードに入ることができるのだろうか?

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■石油産業閉鎖発言の波紋

 また、“経済”という論点で、トランプ氏の方がリードしたのは、バイデン氏の発言が波紋を呼んだからかもしれない。

 バイデン氏はトランプ氏に「石油産業を閉鎖したいのか?」と聞かれ、「そうだ。(石油産業から)移行する」と閉鎖を肯定する発言をした。それに対し、トランプ氏は「大変な発言だ。彼は石油産業を破壊するぞ」と驚いて見せた。

 FOXニュースも「バイデン氏は石油産業を閉鎖したがっている」と言って、閉鎖の部分ばかりをあげつらって批判した。確かに、閉鎖発言は化石燃料を発掘しているテキサス州やペンシルバニア州などにとっては大問題だろう。

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■爆弾発言「メールは本物」

 今、FOXニュースやトランプ派は、そんなバイデン氏の人格を攻撃しようとしている。息子ハンター・バイデン氏のスキャンダルを追求し、バイデン氏が嘘つきであることを証明しようとしているのだ。

 先日、保守系タブロイド紙ニューヨーク・ポストがハンター氏のラップトップの中から、ハンター氏のビジネスに対するバイデン氏の関与を示唆する疑惑の電子メールが見つかったことを暴露した。そのメールはロシアのデマ拡散作戦による偽メールなのか、それともハンター氏の本物のメールなのか? メールの信憑性が取り沙汰されていたが、21日夜、爆弾発言が飛び出した。

 ニューヨーク・ポストが掲載した2017年5月13日付の電子メールの受信者で、ハンター氏の元ビジネスパートナー(中国のエネルギー企業とバイデン一族によるパートナーシップ企業シノホークホールディングスのCEOだった)であるトニー・ボブリンスキー氏が、FOXニュースに対し、電子メールはロシアのデマ拡散作戦による偽メールではなく、本物のメールであると証言、その詳細について語ったのだ。

■バイデン氏に10%の株式オファーか?

 2017年5月13日付の電子メールは中国事業での報酬パッケージに関するもので、株式の配分が提案されているが、その中には「Hに20、“ビッグ・ガイ”に対してHに10」と記されている。

 同氏によると、Hはハンター氏のことで、“ビッグ・ガイ”というのがジョー・バイデン氏のことだという。ハンター氏は父のことを“ビッグ・ガイ”、あるいは、“マイ・チェアマン”と呼んでいたというのだ。つまり、このメールが事実を伝えているのなら、ジョー・バイデン氏に対して10%の株式がオファーされていたことになる。

 ボブリンスキ氏ーは述べている。

「ジョー・バイデン氏は、ハンターとはビジネスについて話し合ったことはないと言っている。私は、それが事実ではないことを目の当たりにしてきた。ハンターはまた、ビジネス取引に関する承認やアドバイスをジョー・バイデン氏に頻繁に求めていると話していた」

 また、同氏はビジネスパートナーからの警告メッセージも公開した。その中にはジョー・バイデン氏の名前も登場する。

「ジョーが関与していることは言うな。言えるのは会っている時だけだ。わかっていると思うが、彼らはとても神経質になっているんだ」

■主要メディアは“爆弾発言”を無視

 ちなみに、主要メディアは、ことごとくボブリンスキー氏の発言は根拠がないとして報じていない。報じたメジャーなメディアはFOXニュースくらいだ。

 CNNは、同氏の発言について、トランプ派による「絶望的な中傷作戦だ」と言い切り、国民の税金で運営されているNPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)は「時間の無駄だ」と言って一蹴している。

 ハンター氏のスキャンダルに対する取り上げ方において、メディアは、トランプ派のFOXニュースと反トランプ派の主要メディアの真っ2つに分かれている状況だ。

 バイデン氏自身は、討論会で、「外国とのビジネス取引から1セントも得ていない」と明言した。

 バイデン氏は武器とする“人格”に対するトランプ派の攻撃を退け、現在のリードを保ちつつ選挙を乗り切ることができるのか? あるいは、米国民は、結局のところ、“人格”より“経済”を重視する判断を下すのか? 

 投票日まであと10日。米国民が下す審判に注目したい。

10/24(土) 12:11
https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20201024-00204438/