この秋、各地でクマの出没が相次いでいます。先月以降に全国で少なくとも63人がクマに襲われてけがをし、このうち2人が死亡したことが、NHKのまとめでわかりました。
ことしはクマが人里に出没するケースが多発し、襲われてけがをする人も相次いでいます。

NHKが各地の放送局を通じて、23日の時点で全国の状況をまとめた結果、先月から今月にかけて、クマに襲われてけがをした人は少なくとも63人に上ることが分かりました。

このうち、秋田県と新潟県でそれぞれ1人がその後、死亡しています。
けが人の県別内訳 新潟13人 石川11人 岩手9人など
けがをした人が最も多かったのは
▽新潟県で13人、
▽次いで石川県が11人、
▽岩手県が9人、
▽福井県が8人、
▽福島県と群馬県がそれぞれ5人などとなっています。

また、今年度の4月以降にけがをした人は、合わせて123人となりました。

これは、一昨年度1年間の53人をすでに大幅に超えていて、この10年では昨年度1年間の157人に次いで2番目に多くなっています。

また、北海道などを除くクマの出没情報は、先月と今月で少なくとも4097件に上っています。

去年と比較できる9月の件数でみると、ことしは2471件と、去年より312件多くなっています。
専門家 要因は「餌不足と生息区域の拡大」
クマの生態に詳しい東京農業大学の山崎晃司教授は、クマの出没が多発している理由について、ことしは餌となる木の実が不作で少なくなった地域もあり、クマが食べ物を求めて人里にやってきていること、過疎や高齢化によって、もともと人間が使っていた場所が森に戻りつつあり、クマの生息区域が広がっていることなどを挙げています。

そのうえで、クマの出没を防ぐための対策として「人家の周辺に食べ物が豊富にあれば何度でもやってくるので、野菜や果物を早めに収穫するほか、ドッグフードの保管場所などにも注意を払ってほしい」と話しています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201025/amp/k10012680031000.html