【ワシントン時事】米航空宇宙局(NASA)は26日、月面に従来考えられていたより多くの水分子が確認されたと発表した。NASAは2024年の有人月面探査再開を目指しており、「月の水」を抽出して有効活用できれば、将来の月面長期滞在に弾みがつく。

 航空機に高性能望遠鏡を搭載した「成層圏赤外線天文台(ソフィア)」による観測で、月の太陽光が当たる面に水分子の存在が確認された。観測結果は科学誌「ネイチャー・アストロノミー」にも掲載された。
 これまで月の水は、太陽光の当たらない低温の地域に氷の形で存在することが分かっていた。新たに確認された水分子は、液体の水や氷ではなく天然ガラスなどの鉱物内に閉じ込められ、太陽光が当たっても蒸発しなかったとみられる。
 今回観測された水の量は「サハラ砂漠全体にある水の100分の1」程度。NASAのブライデンスタイン長官は「資源として利用可能かどうかはまだ分からないが、月の水について知見を得ることは、月探査計画にとって重要な鍵だ」と意義を強調した。
 月の水は人類が長期滞在する際の飲用としてだけでなく、ロケット燃料を現地生産する原料になり得ると期待されている。NASAは22年、月面の水の位置を測定する無人探査車「バイパー」を打ち上げる計画だ。

時事通信 2020年10月27日05時57分
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