持続化給付金詐取容疑、全国で55人逮捕 SNSで若者勧誘も 返還相談2000件超

 新型コロナウイルスの影響で収入が減少した個人事業主らを支援する国の「持続化給付金」100万円をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は27日、愛知県一宮市、無職、山本武彦被告(45)=詐欺罪で起訴=ら4人を詐欺容疑で逮捕した。給付金の不正受給を巡っては全国で55人が21日までに逮捕され、発覚を恐れた返還申請の相談も激増している。経済産業省は加算金などのペナルティーを免除する対応を導入し、返還を促し始めた。

 捜査関係者によると、山本容疑者らは、新型コロナで収入が減ったとする虚偽の確定申告書などを作成して不正受給した疑いがもたれている。

 4容疑者のうち3人は再逮捕で、松山市の無職、生田瑞貴容疑者(36)は約100件の虚偽申請に関わり、計約1億円をだまし取った疑いもある。山本容疑者に誘われて手口を知り、不正を繰り返していたとみられる。

 不正受給が広がった背景には、迅速な支給を目指すためにオンラインでの申請手続きが簡単にされている上、他の主な資金支援策とは異なり返済の必要もないことがある。警察庁によると、13の都府県警が21日までに詐欺容疑などで55人を逮捕したほか6人を書類送検し、被害総額は計4300万円に上っている。

 虚偽の書類を作成する方法が共通し、犯罪組織に属さずに個人で不正を行っている容疑者が多く、SNSで若者らを勧誘する例もある。捜査幹部は「大学生が気軽に申請した後、自宅に届いた給付通知書で親が気付き、不正受給が発覚するケースが目立つ」とチェック体制の不十分さを指摘する。

 一方、逮捕者が報道され始めた7月下旬以降、一度は受給した給付金について、「誤って受給したので返金したい」という相談が増えた。摘発を恐れるなどしたとみられる。全国の警察には21日までに返還などについて約1800件の相談が寄せられたほか、各地の消費生活センターにも15日までに約200件の相談があった。

 制度を所管する経産省は不正受給と認定された場合、…(以下有料版で、
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毎日新聞 2020年10月28日 05時00分(最終更新 10月28日 05時00分)
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