2020年10月25日 09:21

 青少年が創意工夫あふれる作品を発表する「2020世界青少年発明工夫展」で、岐阜県中津川市の中学校3年生、稲垣龍樹さん(15)が銀賞を受賞した。2019年7月にあった京都アニメーション放火殺人事件で建物の窓から逃げようとした人が、防犯用の柵を外から壊してもらって救出されたことを知り、「火災時に室内から開けられる格子柵」を製作した。市役所で青山節児市長に受賞を報告し、「この柵の構造が世界に広まれば世界の人々が助かる未来ができる」と期待を込めた。

 命を守るものが命を奪うかもしれない−。壊れた窓の柵をニュースで見て、中学2年の夏休みに製作に取り組んだ。室内から柵を外せる構造にする必要があると考え、物を固定する際に使う器具「クランプ」に注目。さまざまなクランプをテストし、柵を固定する部材に丸パイプを使い、イマオコーポレーション(関市)のクランプを採用した。室内から簡単にロックを解除して柵を押し出し、窓から外に逃げられるようにした。自然災害が頻発する世界で、災害・火災への備えになると考えている。

 稲垣さんは小学2年の時に工作に興味を持ち、配管工の父(50)の協力で毎年夏休みに製作に挑戦してきた。日頃から母(50)の祖父母から困りごとを聞いて、日常の助けにつながる研究開発を大切にしている。

 作品の説明を受けた青山市長は「身近にヒントがあることを同級生や後輩に伝えてほしい」と期待。稲垣さんは「すごくうれしい。プログラミングを勉強して高度なものを作りたい。人のために役立つものを作っていきたい」と意気込んだ。

 世界展には日本からは25人(21作品)が出展。世界九つの国・地域から158作品が出品された。稲垣さんは昨年の県発明くふう展で最高賞の中部経済産業局長賞、全日本学生児童発明くふう展で発明協会会長賞を受賞し、日本代表に選ばれた。新型コロナウイルスの影響でロシアでの開催が困難となり、プレゼン動画による審査で各賞が決まった。

https://www.gifu-np.co.jp/news/20201025/20201025-285684.html