育児や家事は世帯維持には欠かせない行動である一方、その行為に具体的な対価が現金の形で支払われることはない。兼業世帯の増加に伴い男性の家事参加が声高に叫ばれるようになる中で、これらの行動を時給換算し、一つの指針とする、あるいは重要性を再確認する動きが定期的に生じている。今回はソニー生命保険が2020年10月に発表した「女性の活躍に関する調査2020」(※)から、女性自身が認識している、家事などの行動に関する時給換算の結果を確認する。

女性が世帯で行う家事や育児、さらには居住地域近辺におけるさまざまな付き合いの行動を、仮に現金対価の発生する就労と見なし、時給換算するといくらぐらいになるかについて尋ね、その結果の平均値を算出したのが次のグラフ。7項目のうちもっとも高い価格がつけられたのは「未就学児の育児・世話」で1673円。なお2014年と2018年は今件調査そのものが実施されていない。

↑ 毎日の家事や地域での貢献を時給に換算するといくらになると思うか(女性回答、自由回答、平均額、円)

同じ子供の育児・世話でも小学生以上を対象した区切りでは300円ほど低い1376円となっている。これは乳幼児の方が手間がかかり、負担が大きいとの認識が回答者にあるのが原因。乳幼児まで含まれていれば夜泣きに係わる負担が金額換算の際には大きく加わるのは間違いなく、また幼い時の健康管理は非常に神経を使うもの。

次いで「PTA活動」か1286円、「食事の準備・後片付け」が1184円、「掃除・洗濯」が1030円と続く。町内会の寄り集まりや共同での草むしりなどの「地域社会での貢献」は953円、そして「買い物」は946円。今件はあくまでも平均額ではあるが、高低を含め色々な意見が寄せられそうな値ではある。

類似調査は2013年・2015年・2016年・2017年・2019年に実施されており、その結果を並べ見ると、「地域社会での貢献」がいくぶん頭打ちの感はあったものの、それ以外は押しなべて増加の動き。そして直近の2020年では全項目で大きな増加をしている。

時給換算額が増加の一途をたどっている原因について報告書では「育児などの家事や地域での社会貢献活動を、難易度の高さや貢献の大きさという観点から、高く評価する人が増えているのではないでしょうか」と解説している。他にも「比較対象となり得る一般就労の時給相場が上昇している」「男性の家事参加要求の声の高まりの中で、女性の育児に対する自己評価の見直し」、そして「雇用市場の改善で子供の育児・世話について悩む機会が増えている(幼稚園・保育所への預け入れも含む)」などが考えられよう。また直近の2020年分の大きな増加に関しては、新型コロナウイルスの流行によって生じた配偶者の在宅勤務で、改めて家事などへの注目が集まったことが影響しているのかもしれない。

全文・グラフ等はソース元にて
https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20201102-00205665/