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「現金給付公約」批判し現職破り豊山町長に 愛知

1日に投開票された愛知県豊山町長選は、コロナ禍を受けた現金給付策が争点の一つとなり、批判的な立場をとった無所属新顔で前副町長の鈴木邦尚氏(69)が当選した。先月も現金給付公約で同県岡崎市長選が物議を醸したが、今回投票率は過去最低で大きなうねりにはならなかった。

鈴木氏は9月、副町長を辞職して立候補を表明。名古屋市の局長や代表監査委員を務めた行政経験を前面にアピールした。再選を目指す無所属現職の服部正樹氏(55)、名古屋市在住の元碧南市議・角谷盛夫氏(70)との選挙戦だった。

 現金給付公約は、まず角谷氏が町民1人5万円の「家計支援金」と、売り上げが減った中小企業や農家などに50万円の「事業継続支援金」を配るなどの公約を掲げた。すると服部氏が、子ども1人に3万円の「子育て応援補助金」を公約に追加。告示日の出陣式では「子どもを一生懸命支援する」とPRした。

 そのなか、鈴木氏は「町の財政は厳しい。バラマキはやってはいけない」と批判。町長報酬の10%カットや特養ホーム・障害者グループホームの設置、治水対策や名古屋市営バス乗り入れなどを公約に掲げた。

 開票の結果、鈴木氏(2945票)が服部氏(2664票)、角谷氏(405票)を破り初当選した。

 当選後、鈴木氏は現金給付策について「一人一人に違う生活があり、困りごとも全部違う。行政はそれぞれに力を注ぐべきだ。よほど特別な状況がないとやってはいけない」と改めて批判的な立場を示した。

2020/11/3 9:00 朝日新聞