大接戦となった米大統領選は5日、民主党バイデン前副大統領(77)が、選挙人の過半数(270人)獲得にあと1歩まで迫った。激戦州のウィスコンシン、ミシガンで共和党トランプ大統領(74)を逆転。勝利宣言ではないとしながらも「集計が終われば、我々が勝者になると信じている」と強調した。これに対し、トランプ氏はペンシルベニアなど3州で法的措置に踏み切り、ウィスコンシンで再集計を求める方針。「悪あがき」の徹底抗戦だ。

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敗北は絶対に認めない−。言葉にしてはいないが、トランプ氏の心の叫びが聞こえそうな動きだった。じわじわと追い詰められたトランプ氏は4日(現地時間)、開票作業への不信をにじませ「夕べは多くの州で私がリードしていたのに、魔法のように次々と消えた。とても奇妙だ」「(ミシガン州などで)ひそかに大量の投票用紙が捨てられていた」と、一方的に次々とツイッターに投稿した。

想定外の大接戦から、だんだんバイデン氏優勢の展開に。トランプ陣営も次々と対抗措置を打ち出した。ミシガン、ペンシルベニア、ジョージアの各州で、集計の差し止めなどを求めて提訴。開票作業が公正かを監視する場所へのアクセスができていないと主張した。ペンシルベニアでは、郵便投票の到着期限を3日延ばす決定を覆すよう求めて法的措置。ウィスコンシンでも「正当性に深刻な疑い」があるとし、再集計を求めるという。同州は得票率差が1%以下の時、再集計を申請でき、開票率99%段階で両者の差は0・6ポイント。

バイデン氏は開票最終盤、トランプ氏がリードしていたウィスコンシン、ミシガンで逆転。米メディアの集計(日本時間5日夕)はバイデン253−トランプ213や、バイデン264−トランプ214などだが、いずれも勝利に近いのはバイデン氏。残るペンシルベニア、ネバダなどでも追い上げている。

コロナ禍で激増した郵便投票が効いている。民主党支持者の利用が多く、処理に時間がかかるが集計終盤に票が増加する傾向があり、トランプ氏が「票が消えた」と憤る要因だ。

すでにバイデン氏は「選挙後」を見据える。地元デラウェア州の演説で「勝利宣言のために来たわけではないが、270人の選挙人を獲得するために必要な州で勝つことは明らかだ」と自信をみせた。陣営は政権移行チームのサイトを立ち上げた。

ただ「最終決着」には時間がかかりそうだ。ブッシュ氏とゴア氏が争った00年大統領選は、フロリダ州の集計をめぐる訴訟が連邦最高裁まで争われ勝利確定まで1カ月以上要した。トランプ氏が徹底抗戦を貫けば、なお混乱が続きそうだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e645d4545c9f7a03359f0ab6b665bd3e23049def
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