厳しい経営環境にあり千葉県から多額の財政支援を受けている地域中核病院の独立行政法人「東千葉メディカルセンター」(東金市・314病床)で、一部職員への高額な給与支給や不自然な業務委託で多額の損害が発生しているとする問題が浮上している。5日開かれた同市議会の全員協議会で、病院側は一部に過剰な対応や妥当性を欠いた支出があったことを認め、弁護士を交えて解明を進めることを明らかにした。【金沢衛】

 10月上旬にインターネットの掲示板サイトに問題を指摘する告発文書が、職員給与一覧や業者への請求書などの資料とともに掲載され、市が病院に調査を指示していた。病院は公開された資料は原本のコピーと認めている。

 告発文書は内部資料に基づき、2019年12月に事務職員らを不定期で昇格・昇給させたほか、20年4月に県から派遣された職員に調整額を上乗せし、県職員時代を超える給与を支給しているなどと指摘。また、新型コロナウイルス患者の受け入れ手当として、交通誘導をした事務職員に1回1万円を支給したり、20年10月採用の職員に勤務前の9月分の給与を満額支給したりしたことなども記載されていた。

 業務委託に関しても資料を示して指摘しており、診療報酬明細書の作成など委託費は従来月1582万円だったが、業者変更に伴い20年4月は2813万円に増えていた。診療材料の在庫配送管理などの業務委託費は、月額190万円だったものが、19年から同510万円の業者に変更。清掃業務は19年の委託先変更で支出が年間5000万円増えたとしている。告発文書は過去2年間の行為を挙げたとしており、直近の1年間だけで5億円の「不正」支出があると指摘している。

 病院側は市議会全員協議会で、告発文書にある資料はいずれも原本のコピーと認めたが、大半の事例は独立行政法人法上は「適法」と釈明した。ただ、月額27万円の調整額を上乗せされている県派遣職員は自身の給与を「高いと感じた」と述べた。また、物品の購入費用については「高いように思う」と答える場面もあった。増田政久理事長は「ご迷惑をかけておわびします。事実確認して是正したい」と述べた。

 同病院は東金市と九十九里町が県の補助で14年度に開設。人材不足などで全面開業が遅れたことなどから、毎年10億円以上の赤字を計上してきた。赤字補?(ほてん)や運営のため23年度までに総額71億円が県から交付見込みで、別に37億円がすでに貸し付けられている。

 これとは別に18年度は資金繰りの悪化で県が30億円を追加支援しているが、19年度末で累積赤字は48億7800万円に達している。

毎日新聞2020年11月6日 09時30分(最終更新 11月6日 09時30分)
https://mainichi.jp/articles/20201106/k00/00m/040/026000c