新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多の70人になり、独自の警戒レベルが最も深刻な「拡大期2」に入った兵庫県。井戸敏三知事は会見で、「県民のコロナ(防止)への対応が少し緩くなっているのではないか」との危機感を示した。換気が不十分になり、インフルエンザの同時流行も懸念される冬場を控え、飲食業者や医療機関などの業界団体に、感染防止策の徹底を促す文書を通知した。

 井戸知事は10月下旬から感染者が急増したことについて、クラスター(感染者集団)と家族、職場での拡大が要因と分析。「イベントや飲食の機会など社会的交流が増え、感染リスクが高い場所への立ち入りが10月下旬から増えた可能性がある」と指摘した。

 GoToトラベル、イートとの関連は「飲食機会の呼び水になっていると思うが特定できない」とした。大阪府で感染が急増していることについては、「通勤などの交流圏で、感染者数が兵庫に飛び火する可能性が高い。大阪の沈静化も期待したい」と述べた。

 県民には、飲酒を伴う懇親会の自粛▽大人数や長時間の飲食自粛▽マスクなしで会話しないこと−などを改めて訴えた。加えて、企業に対しては、寮や仕事後の飲み会での感染防止策▽医療従事者や社会福祉施設の関係者には、職員の行動や健康管理の徹底▽飲食業者には「新型コロナ追跡システム」の活用−などを呼び掛ける文書を作り、各業界団体向けに出したという。

 感染状況は、「この1週間で急激に増え、警戒している」とする一方で、「市中感染ではない。第3波かどうかは、もう少し見極めたい」とした。病床数は「対応するスタッフを含め、過剰装備にならないように対応したい」として、コロナと一般医療のバランスも考慮する考えを示した。

 また、11日に17人の感染を発表した神戸市の久元喜造市長は、同日の定例会見で「ここ数日で(感染者の)増加傾向が鮮明になっている。東京や大阪、北海道など全国で感染が増えているが、神戸市も警戒しなければいけない時期に入ったと考えている」と述べた。(藤井伸哉、長谷部崇)

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