11/10(火) 18:32
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Web東奥

 青森県内新型コロナウイルス感染急拡大の発端となった弘前市の飲食店「シャモン」クラスターで感染した50代会社員男性が10日までに取材に応じた。男性は仕事に復帰したものの、念のため外部との接触を避け、以前と比べて窮屈な生活を強いられているという。ただ、現段階で男性の周りに誹謗(ひぼう)中傷するような人は見当たらず「誰が悪いわけではなく、気をつけても交通事故に遭う可能性がゼロにならないのと同じ」とした上で「今後に生かすため、検証は必要」と指摘した。

 弘前市在住の男性は10月上旬、仕事の一環でシャモンを訪れ、約10日後に37.1度の微熱が出た。一度仕事に出て、午後から家で休養を取ったところ、夜になって37.9度まで体温が上がったため保健所に連絡。PCR検査を受け翌日、陽性が確認された。

 男性には基礎疾患があり、コンピューター断層撮影(CT)検査で肺炎の疑いがあると診断を受けた。数日の入院生活を送ったが、その時点で熱は下がっており、注射も点滴もなく投薬のみ。持参した基礎疾患の薬とは別の薬を出されたといい、「薬に関する説明はなかった」。基礎疾患がある患者は重症化リスクが高いとの情報から当初は不安もあったが、熱が下がり、味覚障害などの身体症状もなく、2度の陰性診断を受けて退院。職場と相談の上で仕事に復帰、同居人も検査の結果陰性だった。

 男性は仕事の関係上、必要な相手には感染を報告しているが「大変だったね」とねぎらいの言葉を受けこそすれ、誹謗中傷はなく「救われた思い」。職場も前と変わらず受け入れてくれた。報道などで話題に上る心ない誹謗中傷に関し「誰もが感染の可能性があり、シャモンも被害者。保健所の初期対応も、決められた基準の下で取った対応で、個人や会社、組織を責めるのはおかしいのではないか」と話す。一方、陽性が判明してから入院までの数日間、「保健所から『また連絡する』と電話は入るものの、情報が少なかった」とし、入院か、ホテル移動か、自宅にとどまるのか「どう動けばよいのか、情報が欲しかった」と言う。

 県の発表では感染判明順に番号がつけられている。「いつか、笑い話として、番号をネタにできる時が来れば。好きな温泉も我慢しているので自粛明け、温泉に行くのが楽しみですね」と笑った。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c72a3b350f6107d929d4f7e984205c5e27f58750