政府が普及を急ぐマイナンバーカードを巡り、カードの発行を申請したのに受け取れないままの人が500万人超に膨れ上がっている。申請の急増に自治体の交付作業が追いつかないためだ。2023年3月末までに全国民による取得を目指す政府は、自治体に作業を急ぐよう発破をかけるが、現場は戸惑っている。

 「申請してから受け取るまで3カ月くらいかかった」。11月中旬の平日、仕事の合間を縫って市役所を訪れた東京都三鷹市の男性会社員(43)はつぶやいた。

 特別定額給付金に続き、1人あたり上限5000円分のポイントを受け取れるマイナポイント事業が始まり、申請が急増した。自治体によって手続きは異なるが、カードを受け取るには本人確認のため一度は役所に出向かないといけない。同市は平日に来庁できない人のために月2回、土曜日に開庁して予約した人にカードを交付しているが、既に年内の土曜は全て予約で埋まっているという。

 総務省によると、昨年夏ごろまで申請は月間20万件程度だったが、昨秋から徐々に増加し始め、今春以降は150万件を超える月も珍しくなくなった。各自治体による交付件数も10月には170万件まで増えたが、10月末時点で538万人が「交付待ち」の状態だ。今年から、マイナンバーカードを使えば年末調整の一部手続きが簡単になるが、カードが交付されなければそれもできない。

 自治体は頭を抱えている。…(以下有料版で,残り911文字)

毎日新聞2020年11月17日 15時00分(最終更新 11月17日 15時30分)
https://mainichi.jp/articles/20201116/k00/00m/040/271000c