児童虐待の相談対応件数が急増し、児童相談所(児相)の業務はパンク寸前だが、現場からは「なり手不足で思うように人員を増やせない」という声が出ている。

 この10年で児相での虐待対応件数が4・38倍に増えたのに対し、児相の児童福祉司は1・74倍の4234人(今年4月時点)にとどまる。厚生労働省によると、18年度に死亡事例を担った職員が抱えていた虐待件数は51〜100件が最も多く、201件以上抱える職員も複数いた。

 政府は22年度末までに児相の児童福祉司を5260人程度にまで増やす計画だ。児相職員1人が担当する虐待などの件数の目安を40程度としている。

 だが、首都圏のある児相の場合、職員1人が対応する虐待件数は平均月50〜60件、非行や施設入所などの業務を加えると月100件ほどにのぼるという。この児相の所長は「人手不足が業務を過酷にし、それを避けるようになり手が減る。児相職員が別の職場への異動を希望しても、かなえられないことが心苦しい」と話す。

 各自治体は新規採用だけでなく…(以下有料版で,残り452文字)

朝日新聞 2020年11月18日 18時09分
https://www.asahi.com/articles/ASNCL5SYGNCFUTFL003.html