日本で新型コロナウイルスの感染者が過去最多を記録した18日、米ハワイ州観光局が日本からの旅行客呼び込みに向けた策を打ち出した。そろそろ年末年始の計画を立てる人も多い時期。外務省はハワイへの「渡航中止勧告(レベル3)」を出しているが…。(デジタル編集部・竹村和佳子)
 ハワイ州が打ち出した策とは、日本を出国する前72時間以内に、州当局が指定する医療機関で検査を受けて陰性が証明できれば、ハワイ到着後に義務付けられている14日間の自主隔離を免除する「事前検査プログラム」の拡大だ。

 10月15日から米国本土向けに運用が始まり、今月6日、米国以外では日本で初めて適用された。これまで国内の指定医療機関は大都市が中心の7都道府県21カ所だったが、19都道府県の計57カ所に増えた。ハワイ便が発着する羽田、成田の両空港内検査センターも加わり、地方空港から乗り継いでハワイを訪れる旅行者にも利便性が高くなった。州観光局は「連休や年末年始に対応できる体制を整えられた」とアピールする。
 年間1千万人が訪れる観光の島は、コロナ禍で春夏2度のロックダウンを経験し、経済に深刻な打撃を受けた。昨年は、日本から157万6205人が渡航し、その消費総額は約2360億円というビッグマーケット。日本人参加者が多い12月のホノルルマラソンは中止となったが、年末年始の旅行者を呼び込みたい狙いがある。
 ハワイ州のコロナ対策専門家チームの一員であるハワイ大の岡田悠偉人ゆいとさん(疫学)は「12月からの本格的な観光再開に向けて、安全かつ安心にハワイに滞在していただくために、感染対策をさらに強化していく」とコメントを出した。
 だが、隔離期間が免除されるのはハワイに着いた時だけで、日本に帰国した時に14日間の自主隔離が必要なことに変わりはない。
 前のめりなハワイの姿勢に、外務省は戸惑いを隠せない。北米第1課の担当者は「プログラムに政府間の調整はなく、ハワイ州が独自に行っているもの。日本は渡航中止勧告(レベル3)を出し、海外渡航はやめてくださいとお願いしている。旅行は不要不急とは言えないでしょう」と自粛を呼びかけている。

 日本―ハワイ直行便 日本航空が8月から、全日空とハワイアン航空は10月から、月2〜4往復と少ない便数ながら再開した。12月は各社便数を一気に増やし、3社で計44便が予定されている。ハワイ州観光局は観光再開を見据え、9月末に日本語版公式サイト内にコロナ情報特設ページを設置し、州内の感染情報や航空便情報、出入国に必要な書類や手続きについて開示している。

東京新聞 2020年11月18日 21時58分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/69182
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