今年1〜9月に兵庫県から県外へ移った転出者が、県内への転入者を6515人上回り、全国47都道府県でワーストの「転出超過」になったことが県などへの取材で分かった。国内では新型コロナウイルスの感染拡大で移動の規模は縮小しているが、兵庫の転出超過は加速。コロナ禍で人を呼び込む新たな対策が求められている。(紺野大樹)

 総務省の住民基本台帳に基づくデータによると、都道府県をまたぐ移動者は外国人を含め1〜9月で約200万人。コロナ禍の影響でテレワークが定着したことなどを背景に、前年同期と比べ約9万5千人減った。同じ時期の兵庫県への転入者は計7万4207人(前年同期比4・5%減)、転出者は8万722人(同2・5%減)。転出超過の人数は19年の全国ワースト10番目、18年の同11番目からさらに落ち込んだ。一方、転入者が転出者を上回る「転入超過」は東京都の4万2521人が全国トップだった。

 兵庫県によると、県内では近年、20代前半の人口流出が課題に。県内には大学が多いが、卒業後、就職のため東京や大阪へ転出するケースが目立つという。さらに新型コロナの感染拡大以降、これまで多かった中国・四国地方などから兵庫への移動を見合わせる動きが出ており、転出超過の拡大に影響したとみられる。

 県はコロナ禍での人口減少に対応するため、「お試し移住」にも取り組む予定。但馬や西播磨地域にある県保有のコテージに宿泊してもらい、テレワークなどで仕事を続けながら移住後と同様の生活を体験してもらう。県施設での宿泊費や、居住地からの交通費などの半額(1人当たり月額上限10万円)を補助する予定で、近く事業を開始する。

 県地域創生局は「コロナの影響で人の動きが活発でない中、なぜ兵庫の転出超過が拡大しているのか分析が必要。新しい対策も考えなければいけない」とする。

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202011/0013870541.shtml

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