「走り始めて50メートルほどでおかしいと思った」。

 タクシー運転手が気づいた乗客の違和感が、特殊詐欺の未然防止につながった。広島県警安佐南署は18日、運転手の男性に感謝状を手渡した。

 先月12日午後1時半ごろ、広島市中区の福助タクシー本社に50代女性から「自宅に来てください」と電話があった。運転手歴約10年の升田広略(こうりゃく)さん(71)が、待機していた下祇園駅から女性宅へ向かった。

 「一番近い銀行へお願いします」と落ち着きがなく焦っている様子だった女性に「どしたんね」と問うと、「30万円おろさないと」。銀行で現金を引き出してコンビニで支払いをしようとしていたという。

 升田さんと署によると、女性は「ご利用料金のお支払い確認がとれておりません」というメールを受け取り、記載されていた電話番号にかけると、携帯キャリア会社のカンザキを名乗る男から「総合情報サイトの利用料金が1年間未納のため、本日中に支払ってください。未然に防げるので95%お金が戻ってきます」と伝えられたという。

 升田さんは、泣きそうになっていた女性から電話の際に書いたメモがあると聞き、女性宅に戻ってから女性と一緒に署へ向かった。

 日頃から「しゃべりすぎるくらい声をかけるんです」と升田さん。県警が作り、安佐南署が県タクシー協会などに配った特殊詐欺防止のチラシが事務所の壁に貼ってあり、参考になったという。

2020年11月19日 8時14分 朝日新聞デジタル
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