札幌で新たに病院クラスター67人 「医療体制逼迫しつつある」道知事が危機感

 北海道内の新型コロナウイルス新規感染者は20日、304人と初めて300人を超え2日連続で過去最多を更新した。2人の死亡も確認され死者は計143人となった。札幌市内の病院では新たに67人のクラスター(感染者集団)も判明。鈴木直道知事は21日からの3連休を前に「迷った場合は不要不急の外出はしないで」と呼びかけた。【山下智恵、土谷純一、渡部宏人】

 札幌市手稲区の民間病院「札幌田中病院」(334床)は20日、職員11人、患者56人の計67人が感染したと発表した。同院によると、患者の多くは全面介助が必要な高齢者だ。市保健所は既に現地対策本部を立ち上げ、別の病院などから応援のスタッフが入るが、基本的には院内で治療する。また、新ひだか町の日高徳洲会病院でも入院患者3人と職員2人の計5人の感染が判明した。

 また、既に判明しているクラスターも感染が拡大。旭川市の吉田病院では新たに患者15人の感染と感染患者1人の死亡が判明し、感染者は計82人、死者7人となった。このほかの増加は、釧路総合病院6人(計13人)▽滝川中央病院3人(計25人)▽岩見沢市の北海道労災病院9人(計34人)▽北広島市の障害者支援施設2人(計97人)。重症化リスクの高い医療機関や福祉施設での感染拡大が続く。

 鈴木知事は20日、「医療体制が逼迫(ひっぱく)しつつある。病床が空いていてもマンパワーが足りず一般診療に支障が出かねない」と危機感を示した。道は「感染リスクが回避できない場合」の札幌市内の不要不急の外出と他地域との往来自粛を要請中。鈴木知事は「リスク回避の言葉が分かりにくいとの意見があった。外出は慎重の上に慎重を重ね、迷った場合は不要不急の外出、札幌市との往来をしないで。一人一人が対策しなければ効果が無い」と呼び掛けた。

 また、鈴木知事は同日に宿療養施設を1000室から1270室に増加し、道央圏以外でも今後開設に向け調整中だと説明。「宿泊療養の活用で医療現場の負荷を減らしていきたい」と語った。

 新規感染者の内訳は、札幌市191人▽旭川市21人▽小樽市4人▽空知管内13人▽石狩管内25人▽後志管内4人▽胆振管内12人▽オホーツク管内4人▽十勝管内12人▽釧路管内13人▽日高管内、上川管内、宗谷管内、根室管内各1人▽道発表分の札幌市1人。

 死者は札幌市の80代男性と旭川市の年代性別非公表。道内の感染者は6660人、死者143人となった。

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毎日新聞 2020年11月21日 08時41分(最終更新 11月21日 08時42分)
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