2020.11.21


防災ノートを企画したアイレーションの畠山秀之社長(右)と共生社の槙野雅央社長=芦屋市精道町
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水害に遭っても、書き記した内容を守れる防災ノート=芦屋市精道町
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水に浮くカバーと、ぬれても破れない特殊な紙を組み合わせて作った防災ノート=芦屋市精道町
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 大雨や洪水などで建物が浸水しても、書き記した内容が守れる防災文具の「ウキウキノート」を、兵庫県の阪神間のメーカー2社が共同開発した。水に浮かぶカバーと、ぬれても破れない特殊な紙を組み合わせた商品で、2社がそれぞれの強みを生かした。(中務庸子)



■水害から大事な記録や思い出守れ

 開発したのは、ビニール製品などを加工するアイレーション(芦屋市)と、クリーニング用のタグを製造する共生社(尼崎市)。昨年秋、「水に浮くノートを水難事故防止の啓発グッズ用に作りたい」と、取引先から相談を受けたアイレーションの畠山秀之社長(66)が、防災グッズとして売り出せないかと考えた。
 長年、景品類の生産を手掛けてきた畠山社長はすぐに、ノート用のカバーに気泡緩衝材を包み込んで浮力を持たせるアイデアを思いついた。だが、浮くだけでは紙への浸水を完全には防げない。そこで、親戚でもある槙野雅央・共生社社長(62)に協力を依頼した。
 共生社は、クリーニング店が顧客から預かった衣類の管理用タグを生産する。タグは洗濯しても破れない「耐洗紙」と呼ばれる特殊な紙でできている。同社は2013年から耐洗紙を使ったメモ帳などを企画しており、今回、ノート部分を担当した。
 ウキウキノートは、親戚や友人の連絡先などを記す災害時用や、自身の死に備えて希望を書き留める「エンディングノート」などでの利用を想定。文字は油性のボールペンやフェルトペン、鉛筆で書けば、水にぬれても消えないという。
 畠山社長は「水害で大事な記録や思い出が失われないようになれば」。槙野社長は「日常的に利用できる防災グッズとして浸透してほしい」と話している。
 A5判。カバー全5色。1冊3千円(税別)で、クラウドファンディングサイト「マクアケ」で27日まで受け付けている。5冊セットや被災地贈呈セットを用意。売り上げの一部は、7月の豪雨被害に遭った熊本県に寄付する。

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