新型コロナウイルスの感染拡大を受け、道と札幌市は28日から2週間、市内全域の接待を伴う飲食店への休業要請に踏み切る。

7日から営業時間の短縮を求められてきたススキノ地区の飲食店で働く女性たちには、仕事や収入だけでなく、
自分たちの居場所を失うことへの不安も広がる。

「私たちは、この仕事で生きている。行政はそのことを忘れないで」。女性たちの叫びは、コロナ禍にかき消されている。

「ここの仕事が命綱だったのに。どうすればいいのか」。
ススキノのスナックで働く女性(34)は、がらんとした店内で肩を震わせた。

18歳から交際していた男性に力ずくで金を無心され、600万円の借金を背負わされた。
返済資金などを稼ぐため、ススキノで働き始めて6年。男性と別れた今も、昼間の事務員の仕事を終えた後に週6日、
午前1時まで店に立ち、月30万円の返済を続けている。

■さらなる借金

ところが、コロナ禍でスナックの客は減り、給料は月約25万円から10万円に激減。
手取り16万円の事務員の給料と合わせても毎月の返済額を下回るようになった。

常連客に来店を頼むことも考えたが、「もし新型コロナに感染したら、昼の仕事にも行けなくなる」。
電話を鳴らすこともできず、返済と生活費のために新たな借金を重ねざるを得なくなった。

同僚のホステス8人は給料が減ったことなどを理由に店を去った。
女性も将来への不安で体調を崩したが「ママやお客さんと話す時が、つらいことを忘れられる唯一の時間だった」。

スナックは28日から休業するが、道などからの支援金60万円は例年の売り上げにはほど遠い。同じビルでは廃業した店もある。

「ススキノは生きるために夜の仕事に飛び込んだ私を受け入れてくれた。私の生活の一部でもあるこのマチを守ってほしい」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/486110

人通りの少ないススキノ。28日から札幌市内の接待を伴う飲食店への休業要請が始まることに、女性従業員らの間で不安が広がっている=27日午後7時20分
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