新型コロナウイルス感染症の重症者数は今月10日以降増え続け、28日発表時点で過去最多の440人になった。新型コロナウイルス患者向けの病床使用率も、この1週間に40都道府県で上昇し、全国的な感染拡大に歯止めがかからない状況が続く。今後、病床を効率的に運用する体制づくりが求められそうだ。

 厚生労働省は自治体から報告された前日までのデータをまとめている。それによると、2週間前の13日時点での重症者は234人で、「第2波」のピークに差し掛かった8月中旬ごろと同水準に達した。440人は1週間前に比べて約130人多く、急速に状況が悪化している。

 病床使用率も全国的に上昇している。特に15都道府県では、25日時点で、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会がステージ3(感染急増)の指標の一つ「25%以上」となり、1週間前に比べ6県増えた。

 6県のうち、三重は25ポイント増の36・7%と、全都道府県の中でも最も上昇幅が大きかった。このほか、静岡が18・1ポイント増の39・2%、栃木が16・9ポイント増の28・1%となっている。重症者が増え続ければ病床が逼迫(ひっぱく)し、他の治療への対応も難しくなり、医療崩壊が懸念される。

 国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)は「どのような患者を入院させるかが限られた病床活用の鍵となる。神奈川県では入院優先度を判定する目安を作り、医療現場や保健所の負担を和らげている。年齢だけでなく他の病気の有無などをもとに、病床を効率よく運営できる体制を作るべきだ」と話す。

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