埼玉県在住の会社員、柿沢智昭氏(39)は、最近、新車を購入したばかり。その費用について、反省しているという。

「予想以上に支出がかさんでしまい、予算を大幅にオーバーしてしまったのです」

購入した新車の価格は、約336万円。新車を買おうと蓄えたお金は290万円だった。

「税金などの諸費用込みで、予算内で収める予定でいました。そして、気に入った車を買うことに決めたのですが……」

 購入した車の費用明細を見せてもらった。

 車の本体価格は268万円。税金などの諸費用は20万円強で、予算内に収まるはずだった。

 しかし、安全性重視や車内外を快適にするためのオプション費用などで、なんと48万円も上乗せされていたのだ。

「本体価格そのままの車では、いい音で音楽も聴けなければ、車外が写るモニターもない。ドライブレコーダーもありません。そこでオプションを選択したのです」

 これは柿沢氏に限らず、多くの人が経験しているはずだ。車を買うときに限らない。一生に一度のことなので、結婚式でオプションをつけた。住宅リフォームで、グレードの高い仕様の部材にしたなどなど。高額商品を買うときは、しばしば予算をオーバーする。

なぜ、予定外の出費が増えてしまうのか。それは、人は基準価格(参照価格)からの変化に反応するからだ。

 柿沢氏を例にとれば、基準価格は290万円。これに対して、オプション価格は48万円だ。基準価格に上乗せされる金額としては、大した金額ではないと思えてくる。

 しかし、同額の装備をカー用品店で揃えようとすると高いと感じる。

「車のグレードを下げるか、他メーカーの車種を検討して、予算内に抑えるべきでしたね」

 柿沢氏のような失敗を防ぐには、出発点を変えることだ。予算額を基準価格にせず、「ゼロ」からスタートする。ゼロから検討すれば、高い安いが身近になり、予定外の支出は避けられる。

以下ソースにて
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/282007/3