【ジャカルタ=一言剛之】オーストラリアの複数のメディアは、国立公園を含む東部ケスウィック島で土地のリース契約を結んだ中国企業が小型航空機が離着陸する滑走路への道路を封鎖し、住民が島外との行き来を妨げられていると報じた。中国企業の開発による自然環境の破壊も指摘され、反発が広がっている。

 デイリー・メール紙などによると、この企業は不動産会社「チャイナ・ブルーム」で、2019年に地主との間で島の面積の約2割に当たる土地を99年間使用する契約を結んでいた。契約後、企業は主要な桟橋の利用や自然豊かな砂浜への立ち入りも禁止した。

 契約が結ばれた土地に立つ賃貸住宅では、3日後の立ち退きや10万豪ドル(約770万円)の保証金追加を求められた住民もいたという。ウミガメの産卵地である砂浜が、重機で開発されているとの報道もある。

 「豪州人を島から追い出し、中国のための観光地に変えようとしている」との住民の訴えも伝えられている。豪メディアグループのナインによると、地元クイーンズランド州当局は声明で「正式な調停や仲裁手続きなどの(法的な)申し出はない」として、問題の大半は中国企業と住民の当事者間で解決されるべきだとの立場を取っているという。

2020/12/03 22:30 読売
https://www.yomiuri.co.jp/world/20201203-OYT1T50195/
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