新型コロナウイルスの感染拡大により、世界各国で家事や子育てといった家庭内の無償労働がより女性に偏っていると、国連女性機関の報告書が明らかにした。実態が見えにくい無償労働時間をデータ化したことで、「多くの国で男性よりも女性の方が労働時間短縮や失業に苦しむのは、家庭内の無償労働の増加によるのではないか」と分析する。(柚木まり)

◆無償労働格差 さらに拡大
 報告書は日本を含む54カ国の統計分析や聞き取り調査に基づき、11月下旬に公表された。感染拡大以降、無償労働に費やす時間が「増加した」と答えた人の割合は女性が60%、男性の54%を6ポイント上回った。国際労働機関(ILO)の調査(2018年)では、女性の1日当たりの無償労働時間は4時間超で、男性の3倍。格差はコロナ禍でさらに広がったといえる。
 女性の負担増が目立つのは子どもの身の回りの世話で、1週間当たり5・2時間増え、男性の3・5時間を大きく超えた。ほかに女性の方が増えたのは、料理や掃除・洗濯、買い物など。男性の方が増えたのは、ペットの世話と高齢者や障害がある大人の家族の世話だった。
◆報告書「年末までに女性約4億7000万人が極度の貧困に陥る」
 報告書は「新型コロナの世界的大流行で、女性が担う無償労働なくして、世界経済や日常生活が成り立たないことが浮き彫りになった」と指摘。コロナ禍で増えた女性の非労働力人口は男性の1・7倍で、年末までに世界の女性の13%(約4億7000万人)が極度の貧困に陥ると警鐘を鳴らす。
 国連女性機関は、世界の女性のうち20億人が1日8時間の無償労働をした場合の金銭的価値は、各国の国内総生産(GDP)合計の9%に当たる11兆ドル(約1100兆円)になると分析する。担当したサラ・ドゥエルト・ヴァレロ地域担当顧問は、取材に「各国政府はこの結果に目を向け、すべての人を対象に子どもの世話の無償提供などを検討してほしい」と求めた。
◆連合も調査 「休園の子どもの世話 男性わずか」
 日本でも、連合が10月下旬に育児に関する調査を実施。保育園・幼稚園児がいる働く男女828人に、コロナ禍で休園中にだれが子どもの世話をしたかを尋ねたところ、「自分」と答えた女性は8割で、男性の8割以上も「配偶者・パートナー」とした。担当者は「一斉休校・休園による女性へのしわ寄せを感じた肌感覚が実際に数字で示された」と話す。
 内閣府は、大学教授らでつくる研究会で家庭内労働の実態を調査中で、年内に中間報告を行う予定だ。
 研究会メンバーで立命館大の筒井淳也教授(家族社会学)は「日本の家庭内労働は極端に女性に偏る。基本的に男性は家事をしないと言ってもおかしくなく、ほとんど議論されていない」と指摘。和光大の竹信三恵子名誉教授(労働社会学)は「女性がぼんやりと感じてきたジェンダー格差や生きづらさを広く社会問題としていくためにデータは重要だ」と話す。

東京新聞 2020年12月06日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/72657
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