情報が少ない乳幼児のデリケートゾーンについての悩みを解消しようと、泌尿器科医の岡田百合香さん(30)=愛知県豊橋市=が岐阜市内で「男の子ママのためのおちんちん講座」を開き、0歳〜小5の子を持つ母親が参加した。

 岡田さんは岐阜市出身。岐阜大医学部を卒業後、豊橋市民病院で勤務。現在は2歳の男児を育てながら非常勤医師として働く。育児情報サイト「たまひよオンライン」に連載を持つほか、豊橋市内の助産院などで母親向けに講座を開いている。県内では今回が初めて。

 男の子を持つ母親にとって大きな悩みの一つが「皮はむくべきか」について。岡田さんは「医師の間では、親が無理にむく必要はない、という見解が主流になっている」と話す。家庭で行うにはハードルが高く、また個人差が大きいため、「親の介入で左右される問題ではない」とも。

 ただし、炎症を起こしている場合などは、むいた方が医学的に良い場合もあり、症状によっては外用薬処方や手術に至る。「実は、皮をむくことより戻すことの方が重要。むいたままにしておくと皮で締め付けられ、腫れてしまうことがある。『お風呂の時には皮をむいて中を洗ってから戻すといいよ』と子どもに教えるのも大切」

 子どもの男女を問わず「つい股に手がいく」という悩みについては、親が厳しく叱るのはNG。まずはなぜ触るのかを子どもに聞き、人前ではやめた方がいいこと、大事な場所であり手の汚れから炎症が起こりうることを伝えるとよい。

 デリケートゾーンの話題の根底にあるのは性教育だと岡田さんは指摘。日本ではタブー視されることが多いが、性教育とは本来、自分や他者の心や体についての考え方を学ぶもので、人権教育にもつながるとする。子育てや性についての情報があふれる現代で、保護者も子どもも「自分で考える力」が求められていると岡田さん。「まずは保護者の『性』への偏見をなくし、子どもが幼児期のうちから何でも聞ける関係づくりをしておくと、性教育もスムーズにできる」

 参加した母親からは、「他人に言いづらかった悩みを聞いてもらうことができた」などの声が聞かれた。岡田さんは「女性の泌尿器科医は多くないので、母親と同じ目線からさまざまな方面の情報を提供していきたい」と話している。20日にも岐阜市内で母親向けに講座を開く。

2020年12月09日 11:01
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