安倍政権が検討課題とした「ミサイル阻止に関する新たな方針」をめぐり、政府が来週中にも菅政権としての方針を閣議決定することがわかった。敵のミサイル基地などを直接たたく敵基地攻撃能力の保有は明記せず、「抑止力の強化」との表現で引き続き検討する方針を示すが、検討の期限は設けない。複数の政府・与党関係者が明らかにした。

 一方、政府は国産の「12式地対艦誘導弾」の射程を延ばし、敵の射程外から攻撃できる長射程巡航ミサイルとして開発する方針を決めた。5年の開発期間を予定し、防衛省が来年度予算案に335億円の関連費用を計上する。離島防衛を名目として、F15戦闘機への搭載が決まっている「JASSM(ジャズム)―ER」などとあわせ、敵基地攻撃能力として転用可能な装備が増える。政府が敵基地攻撃能力の保有に関する「意思」を明示しないまま、「能力」だけが拡大する構図が続く。

 安倍晋三前首相は6月、新たな安保戦略を打ち出すと表明。敵基地攻撃能力についても議論するとし、国家安全保障会議(NSC)で議論を重ねた。退陣直前の9月11日には閣議決定を経ない談話を出した。「迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことが出来るのか」と敵基地攻撃能力を保有すべきだとの主張はにじませたが、「今年末までに、あるべき方策を示す」と結論は次の政権に委ねた。

 複数の政府・与党関係者によると、閣議決定文書では、敵基地攻撃能力の保有の是非と、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替策について、政府方針を記す。

 敵基地攻撃能力をめぐっては、…(以下有料版で,残り377文字)

朝日新聞 2020年12月10日 6時00分
https://www.asahi.com/articles/ASND96VH3ND9UTFK00X.html?iref=comtop_7_03