自衛隊看護官ら7人、15日から大阪派遣 防衛省内に懸念の声

 防衛省は11日、新型コロナウイルスの重症患者が増加傾向にある大阪府に対し、看護師資格を持つ自衛隊の「看護官」ら7人を災害派遣すると発表した。期間は15〜28日。北海道に続く医療支援チームの派遣に、省内では「人材は限られる。どこまで自治体の要望に応えられるのか」と懸念の声が上がっている。
 医療従事者の確保に苦慮している大阪府が派遣を求めていた。派遣先は、重症患者の臨時受け入れ施設「大阪コロナ重症センター」(大阪市)と、府立中河内救命救急センター(東大阪市)。看護官2人と准看護師5人の計7人が投入される。岸信夫防衛相は11日夕、防衛医科大学校(埼玉県)から派遣される看護官1人を省内で激励した。

 新型コロナの感染拡大で全国的に医療提供体制が逼迫(ひっぱく)する恐れがあるなか、自衛隊の人材も「簡単には職場から引きはがせない」(防衛省幹部)状況だ。医師免許を持つ「医官」と看護官はそれぞれ約1000人。各地の自衛隊病院などで勤務し、新型コロナの患者受け入れや救急対応など地域医療の一端も担っているからだ。

 医療崩壊を防ぐ手立てとして自衛隊が出動した格好だが、自衛隊関係者からは「対症療法に過ぎない。なぜこれほど感染が広がるのか、全国の医療スタッフをどう振り分けるのか、そこを掘り下げないと同じことが繰り返されるだけでは」との声も漏れる。自衛隊に注目が集まっていることへの困惑もあり、別の関係者は「地域医療を支える人たちがいるのに、反感を買わないか」と心配する。

 8月に医療崩壊が懸念された沖縄県では、看護官らの医療チーム計3班が活動した。当初は2班だったが、支援先が増えて1班追加した経緯がある。防衛省幹部は「各地から派遣要請が相次ぐと、沖縄のような対応は非常に難しくなる」と話した。【松浦吉剛】

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毎日新聞 2020年12月11日 18時15分(最終更新 12月11日 18時15分)
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