神戸新聞

神戸発、国産初の手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」を使った1例目の手術が14日に行われるのを前に、執刀する神戸大大学院の藤澤正人・医学研究科長が神戸新聞のインタビューに応じた。藤澤氏は「自ら開発してきた支援ロボットで患者を治療できる日が来たことに感無量だ」と話した。主なやりとりは次の通り。

−開発に携わった
 「医師3人で試作機を評価した。最初の頃は、ロボの腕にあたるアームがぶつかるなどして何度も止まり、手術に使うのは難しいと思った。工業用ロボットは、不規則な動きをしたら止めるのが原則だが、手術支援ロボットは、術中に止まったら困る。アームが接触しても、医師が自分の目で判断するからそのまま動かせるように改良し、少しずつ止まらないようになっていった」
 「操作も当初は重く感じた。なめらかさもなかった。ふわふわと、重力を感じないくらいスムーズになるまで時間がかかった」
 −ヒノトリの可能性は
 「アームの動きをデータ化し、熟練した医師の手技を記録することができる。蓄積したデータを解析し、おなかの切開など簡単な手技は自動化できるかもしれない。ただ、血管も千差万別なので出血した場合の対応などは難しいだろう」
 「近く立ち上げるテレサージェリー(遠隔手術)センターなどの研究が進めば、医師がいる場所から、コントローラーを使って遠方の患者を手術することも夢ではないと思う」
 −初手術への意気込みは
 「手術は70代男性の前立腺がんの全摘出だが、スムーズにいけば3〜4時間でできると思う。すでに献体などで計5回、動きを確認している。当日は、技術者も待機し、万一トラブルが起きれば通常手術に切り替える。これまでの米国製支援ロボットと同様、安全で、質の高い手術ができると考えている」

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