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"陰性"のはずが感染拡大…クラスターが発生した病院で見えた「コロナ対策の難しさ」

北海道内では札幌市や旭川市を中心に病院でのクラスターに歯止めがかかりません。クラスターが発生した病院で医師が語った「感染が急拡大した理由」です。

 「北海道医療センター」。救命救急センターがあり、北海道の医療を支える基幹病院の一つです。

 2020年2月以降、新型コロナウイルスの感染者を180人以上受け入れてきましたが、11月院内でクラスターが発生。

 患者や看護師など合わせて16人が感染しました。

 クラスターの封じ込めにあたった小谷俊雄医師は、院内クラスターに直面した恐怖をこう話します。

小谷 俊雄 医師:「これはまずいと思いました。最初の数日は『これ以上広がらないでくれ』と、どういう感染経路なのかを必死に考えていました」

 小谷医師は、感染源を突き止めるべく調査を始めました。

 最初の感染者が判明したのは11月6日のこと。看護師2人が発熱や胃の不調を訴え、PCR検査を受けた結果、「陽性」と判明しました。

 小谷 俊雄 医師:「"捜査"と同じような事やるんですが、症状が一番早く出た看護師の関連する患者さんを調べた時に、最終的に11月のクラスターが発生してから数日後に陽性になった患者が、入院した時にウイルスを持っていてもおかしくなかったと考えた」

 調査の結果浮上したのが、感染源とみられるある患者の存在です。

 この患者が入院してきたのは、10月下旬。しかし、驚いたことにその患者は入院時にPCR検査を受けていて、「陰性」だったのです。

患者は2日間入院。比較的症状が早く出た看護師らは、この患者と、多く接していたと言います。

 小谷 俊雄 医師:「症状が早かった看護師は、検査の時に患者に説明をしたり、検査のお迎えをしたり、比較的近い距離で接していた可能性があり、病室という環境では(患者が)24時間マスクをしているという状況ではなかったかと思うので、マスクをしていない状況の患者と接した可能性はあると聞いています」

 小谷医師はその後、感染した看護師を介して入院患者や職員に感染が拡大したとみています。

 入院時には「陰性」だった患者が、検査をすり抜け感染源に…。

 浮き彫りになったのは、1日〜14日とされるウイルスの潜伏期間の恐ろしさです。

 入院の前日にウイルスをもらってきていることも想定した対応が必要になると訴えます。

 小谷 俊雄 医師:「PCRはあくまでもその時点での陰性がある程度証明されるが、ウイルスを持っていないという証明にはならない。なかなか2週間他の場所で自主隔離をしてから入院するのは、現実には難しい。今回の件で一定の教訓と対策を打つきっかけになったが、継続的に対策を打っていかなければならないことが、ある意味恐ろしいと思う」
(リンク先に続きあり)

2020年12月11日20:40